1 調査の概要
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調査は、ケーブルテレビの多チャンネル・サービス加入世帯と非加入世帯を対象とし、設問は部分的には共通化した。主な調査項目は、世帯主/配偶者のテレビ視聴態度、ケーブルテレビへの加入/非加入決定のプロセス、ケーブルテレビ/地上波テレビの視聴状況、ケーブルテレビ/地上波テレビの評価、情報機器所有などである。加入決定に係わる項目を主な調査対象としたため、調査は世帯主を回答者とした世帯調査(視聴状況等の一部は個人調査)となっている。なお調査項目の選定に当たっては、西野等(1993)を参考にした。
調査対象のケーブルテレビ局としては、地上波のチャンネル数の多い首都圏に着目し、かつ営業年数が比較的長いケーブルテレビ局として、(株)横浜ケーブルビジョン(YCV)を選んだ。YCVは一九八〇年代中頃に各地で開始された電鉄系のケーブルテレビ事業の1つで、相模鉄道(株)が親企業となっている。対象エリアは横浜市旭区・泉区で、相模鉄道沿線の新興住宅地と若干の旧市街地が混在し、起伏に富む丘陵地である。調査時点での対象世帯数一〇.八万戸、多チャンネル・サービスの加入率は約八%、営業年数は六年である。サービスは、映像二四チャンネル、音声九チャンネル、加入料・工事費は七.五万円、基本料は三千円/月である。サービスや料金の水準は首都圏の各地の多チャンネル・ケーブルテレビの平均像である。
調査の方法は、郵送法によるアンケート調査である。サンプルはYCVエリア内の多チャンネル・サービスのケーブルテレビ加入世帯(以降加入世帯)と非加入世帯である。エリア内の地域を特定し、加入世帯は四六五票(抽出率五〇%)、非加入世帯は八三八票(抽出率六.五%)で無作為抽出し、発送・回収した。有効回収数は加入世帯二一一票(四五.一%)、非加入世帯二二四票(二六.七%)である(4)。なお調査エリア内の加入率は六.七%であった。
注
(4)集計したサンプルの概略を示す。括弧なしは加入世帯主、括弧内は非加入世帯主である。性別は男性九四.八(九六.四%)、女性五.二%(三.六%)。年齢構成は、五〇歳未満一一.四%(二.七%)、四〇歳以上六〇歳未満四五.五%(四三.三%)、六〇歳以上四二.七%(五三.六%)、無回答〇.五%(〇.四%)である。世帯収入は、一〇〇〇万円以下五三.五%(六一.二%)、それ以上は四〇.三%(三三.〇%)、無回答六.二%(五.八%)である。サンプルでは高齢層の比率がかなり高く、成熟過程にある新興住宅地の人口構成を色濃く反映する面がある。