2−2 加入の理由                     目次へ戻る
  次にケーブルテレビへの加入の理由がどの様になっているかを見ていく。加入者について3回答以内の複数回答で得た結果を図4に示す。7割以上がテレビ映りの向上を上げ、次いで衛星放送視聴、映画・音楽、スポーツの順である(9)。一見して多くの理由が混在しており、ケーブルテレビには多面的な効用が期待されているのが分かる。またケーブルテレビの特徴の1つとして期待される地域メディアとしての期待は、あまり多くはない。また加入理由を加入時機により時系列的に見た分析によると、衛星放送視聴には変化がないものの、最近はテレビ映りが減少し、映画・音楽やスポーツなど娯楽指向が増加する傾向にある。このように加入時期によっても変わる側面がある。
                                            図4 ケーブルテレビの加入理由 (加入者のみ N=211)

 
表2 加入理由による加入者のグループ
グループ 加入理由 加入数
A:映像・アンテナ指向 1.テレビ映り、7.アンテナ無用のどれか、または両方 40(19.4%)
B:多チャンネル指向 2.BS、3.映画・音楽、4.スポーツ、5.ニュース 、9.レース 
のどれか、または複数
41(19.9)
C:映・ア+多CH指向 AとBの混合 100(48.5)
D:地域等指向 6.地域情報、8.仕事、10.知人出演のどれか、 
またはそれとA, B, Cのどれか
25(12.1)
 

 次に回答者の姿が見えるように、複数回答の加入理由を整理し、表2に示す4つのグループを作った。Aグループはテレビ映りとアンテナの維持不要を期待している層で、都市難視の影響が色濃く現れている(このうち七五%は何らかの都市難視の影響下にある)。BグループはBSやケーブルの専門チャンネルに期待している層である。CグループはAグループとBグループを兼ねた期待をもつ層で、Dには地域情報等に期待している層を含めた。最も多いのがAとBを兼ねているCグループで、約半分を占めている。もっぱら機能性を重視するAグループは二割弱、ケーブルテレビの本来的な多チャンネル・サービスのみを指向するBグループも二割弱、地域等のDグループは一割強となる。

 ケーブルテレビのメディア特性は、本来的には多チャンネルと地域性にあると思われるが、現実的にはかなり異なっている。またこのように様々な指向性を持つ層の加入者が存在する中で、それぞれの層がどの様にサービスを評価しているのかは興味のある問題である。これについては後述したい。


(9)西野(1993)の調査では、「衛星放送」四八.二%、「映画」三二.七%、「スポーツ」二八.五%、「いつもニュース」二二.三%、「天気や地域情報」一七.四%で、大体類似した傾向を示している。他方「テレビ映り向上」は二三.八%で、これは本調査よりかなり小さい。本調査では加入者の半分弱が電波障害の存在を答えており、その影響が現れていると思われる。


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