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2018/01/11

桶川市の「ラオスの教科書展」で外国語学科の山川智子先生が公開講座を行いました

2017年12月2日(土)、3日(日)に、埼玉県桶川市のOKEGAWA hon+イベントスペースで、「ラオスの教科書展」が開催されました。教科書収集、展示パネルの解説、および教科書翻訳は、文教大学の卒業生で、現在はNPO法人「地球対話ラボ」理事である中川真規子氏によるものです。

3日には、公開講座「教科書の国際比較から学べること-ラオスの教育を探ってみよう!」が開かれました。中川氏が現地で撮影した写真を活用しながら、外国語学科の山川智子先生がラオスの教育制度や初等教育の現状、教科書に関して話をしました。この公開講座には教科書展を訪れたお客様が多く参加しました。

ラオスは、ベトナム、タイ、カンボジア、中国、ミャンマーに囲まれた東南アジア唯一の内陸国であり、「メコンの宝石」とも呼ばれ、日本企業の新たな進出先としても注目されています。ラオスの現状について話した後、テーマを「ラオスの教育」に移し、教育制度、初等教育、教科書の特徴、そして“ノンフォーマル”教育の4項目を挙げ、話を進めました。
多民族国家のラオスの学校教育では公用語のラオ語が使用されるため、ラオ語を話せない民族の子どもたちが勉学上に問題を抱えていると指摘しました。さらに、言語運用面から少数民族への勉強サポートが必要であること、教員の中に占める少数民族の出身者の割合を高めることが目標となっていること、教科書の内容は逸話・道徳的なものや少数民族の紹介が多いことにも触れました。
その他、地理的な要因、家庭事情等が要因となって、初等教育段階でも2割以上の子どもが退学せざるを得ない状況にあること、こうした子どもに対して、教科書や学ぶ場の提供、母語・教授言語のサポート等が求められていることについても触れられました。子どもの数に対して教科書が全く足りず、一冊の教科書を数名で回し読みしながら学ばざるをえない子どもたちも多く、教育環境の整備が課題となっていること、また教育への大人の関心や識字率を向上させることも重要であると指摘しました。最後に、学校教育以外の教育を意味する“ノンフォーマル”教育についてもいくつか例をあげながら紹介しました。
様々な課題はあるものの、独自のペースで控えめに暮らすラオスの人々の中にこそ、現在社会が忘れかけた魅力があります。ラオスは「貧しい国」というイメージで語られることもありますが、さまざまな意味でとても「豊かな国」であることを多くの人に知っていただきたいと思います。

なお、「ラオスの教科書展」の概要につきましては、こちらをご覧ください。
http://www.bunkyo.ac.jp/news/event/20171213-03.html

また、教育研究所のHPにも、学園祭での展示について紹介されています。
http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/kyouken/wp/?p=1181