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第23回 ドイツの教科書

開催にあたって
 西ヨーロッパの中央に位置し、ヨーロッパ諸国のなかでも経済的・政治的に主要国のひとつであるドイツ連邦共和国では、現在「教育連邦主義」のもとに、初等教育と中等教育においては「州」に設置される文部省に権限が与えられています。地方分権体制の歴史が長く、現在でも教育政策および教育内容は「州」によって異なり、それが多文化主義を掲げるドイツ教育の特徴として挙げられています。しかしその一方、ドイツ国内において増加する移民の子どもたちの不十分な教育環境は学力格差を生みだし、それによってドイツ全体の学力低下が懸念されています。教育の多様性を特徴としながらも、学力格差による学力低下を突きつけられている現在のドイツでは、どのような教育が求められているのでしょうか。今回の教科書展では、ドイツの教科書に実際に触れながら、ドイツ教育のいまを体感していただきたいと思います。
 また日本とドイツの文化交流は2011年に150周年を迎えました。産業や経済においても積極的な交流がおこなわれており、もちろん、敗戦という苦い記憶をもつ両国は教育という面でも影響をうけあってきました。それぞれの国における教育の歩みは異なりますが、戦後から70年を経過した「いま」を生きるわたしたちにとって、ドイツの教育と日本の教育を比較することで、両国の歩みを振り返ることもまた大切なのではないでしょうか。今回の展示パネルの解説および教科書翻訳は、文教大学文学部の山川智子先生にお願いしました。
(2016年10月)

1.ドイツの概要

 ドイツの正式名称は「ドイツ連邦共和国(Bundesrepublik Deutschland: BRD)」です。(ちなみに、英語表記は、Federal Republic of Germanyとなります。)ドイツは西ヨーロッパの中央に位置し、16の州から成る連邦制国家です。現在のドイツは1990年10月に成立し、首都はベルリンです。ヨーロッパにおける経済的、政治的な主要国の1つです。
 ドイツには連邦大統領と連邦首相がいます。国家元首である連邦大統領の権限は限られており、政治に直接関わることはありません。行政権を司るのは連邦首相です。2005年11月から、アンゲラ・メルケルがドイツ史上初の女性首相として行政府のトップに位置しています。
 16州のうち、3つの州(ベルリン、ハンブルク、ブレーメン)は、「都市州」と呼ばれています。それは、ベルリンとハンブルクは、1つの都市(ベルリン、ハンブルク)のみで州の地位を有し、ブレーメンは、2つの都市(ブレーメンとブレーマーハーフェン)のみで州の地位を有しているからです。
 ドイツの人口はIMFの2016年4月時点の推計調査によると、約8277万人で、世界の人口ランキングで16位に位置しています。地方分権の歴史が長いドイツは、1つの都市に人口が集中していません。首都のベルリンも、東京のように多くの人口を抱えていないのです。最も人口の多い都市から順番に挙げてみます。
 ベルリン:3,469 ,849人、
 ハンブルク:1,762,791人、
 ミュンヘン:1,429,584人、
 ケルン:1,046,680人、
 フランクフルト:717,624人
となっています(Statistisches Bundesamt:2014)。
 地方分権なので、政治、司法、経済、工業の中心地も別々に位置します。例えば、政治の中心はベルリン、司法の中心はカールスルーエ、金融の中心はフランクフルト、工業の中心はバーデン・ヴュルテンベルク州、バイエルン州となっています。

 ドイツの総面積は、日本よりやや狭く、357,200 km2です(ちなみに、日本の総面積は約378,000km2です)。ドイツは9つの国(デンマーク、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、フランス、スイス、オーストリア、チェコ、ポーランド)と国境を接しています。主な河川は、ライン川、ドナウ川、エルベ川の3本です。
ドイツの公用語はドイツ語で、EUの公用語(24言語)の1つであり、さらにEUの作業言語(3言語)の1つです。ドイツ語の母語話者人口は約1億人といわれており、EUの中で最も母語話者の多い言語です。ドイツ語は、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ベルギー、イタリアの南チロル地方、フランスのアルザス地方などでも話されています。また中東欧諸国でもドイツ語の母語話者がいます。ドイツで公認されている少数言語は、デンマーク語、低地ドイツ語、ソルブ語、ロマ語、フリジア語で、ヨーロッパ地方言語・少数言語憲章により保護されています。移民の中で使用される言語は、トルコ語、クルド語、ポーランド語、バルカン系言語、ロシア語です。
 ドイツにおける最大の宗教はキリスト教です。宗教の内訳を概観すると、カトリックが約29.9%、プロテスタントが28.9%、イスラム教が2.6%、ユダヤ教0.1%を占めています。

 ドイツの簡単な略史を、外務省ホームページを参考に作成してみました。
  378年:ゲルマン民族、ローマ帝国領内に侵入
  911年:選挙王政による初代ドイツ国王コンラート一即位
  962年:神聖ローマ帝国成立(~1806年)
  1701年:プロイセン王国成立(~1871年)
  1871年:ドイツ帝国成立(いわゆる「ビスマルク憲法」制定)
  1918年:ドイツ革命、ワイマール共和国成立
  1933年:ヒトラー、首相に就任、ナチ党の一党独裁制確立(~1945年)
  1949年:西ドイツ基本法の成立、西ドイツ・東ドイツの成立
  1955年:パリ条約発効、西ドイツ主権を取得。西ドイツ、NATOに加盟。東ドイツ、ワルシャワ条約機構に加盟。
  1961年:「ベルリンの壁」構築
  1972年:東西両ドイツ、基本条約を締結、関係正常化
  1973年:東西両ドイツ、国連加盟
  1989年11月:「ベルリンの壁」崩壊
  1990年7月: 両ドイツ通貨・経済・社会同盟発足
  1990年9月: 両ドイツ間「統一条約」発効
  1990年10月3日: 再統一

 日本との時差は8時間(夏は7時間)です。
 ドイツと日本の交流の歴史も長く、2011年には日独交流150周年を迎えました。日常生活の様々な場面で、日独交流にゆかりのあるものを見つけることができます。たとえば、日本では年末におなじみとなったベートーベンの第九ですが、日本に捕虜として連れてこられたドイツ兵が演奏したことがはじまりとされています。バウムクーヘンも、ドイツ人捕虜だったユーハイムが日本でお店をもったことから普及していきました。
 日本との技術・経済交流も活発に行われています。さまざまな面で、アメリカに比べ、戦前ほどの影響力を持たなくなりましたが、音楽、食文化、教育制度などの文化、教育面では互いに影響を与え合っています。

2.ドイツの教育

1.教育連邦主義
 「ドイツの教育」と言っても、実際には、「国」ではなく、原則として「州」の管轄下にあります。また、教育課程も、その内容も州によって異なります。
 それはドイツが「教育連邦主義(Bildungsfoderalismus)」を採用しているからです。初等教育と中等教育に関しては、16の州が設置している、日本で言うところの「文部省(Ministerium fur Kultus, Jugend und Sport)」が政策の権限を有します。
 州の管轄下にあるとはいえ、国として、対外的にはある程度の緩やかな統一基準を持つことも必要です。そのため、16州の「文部省」間で緩やかなつながりを維持するため、「常設各州文部大臣会議(Standige Konferenz der Kultusminister der Lander) KMK」が設置され、この会議で調整が図られます。
 このように州に大きな権限が与えられているのは、「文化高権(Kulturhoheit)」という仕組みが背景にあるからです。「文化高権」は、ドイツの教育を語るときに注目すべき要素です。
「文化高権」とは、文化政策と文化行政のすべての問題に関して、原則として諸州が立法上および行政上の権限を有する、という仕組みです。権限は、ラジオ、国立の図書館、劇場、学校や大学に至るまで及んでいます(マックス・プランク教育研究所研究者グループ1994)。
 かつて、旧西ドイツでの「常設各州文部大臣会議」で締結された「デュッセルドルフ協定」(1955年)において、諸州の学校教育政策の統一化が図られたこともありました。たとえば言語教育においても、「第一外国語」は原則として「英語」と決定されました。
 しかし、1957年にフランスとの関係が強いザールラント州が連邦に編入されて以降、この協定も柔軟化しました(木村2005、Bausch, Christ, Krumm 1995)。このように、連邦レベルで調整を図りつつも、カリキュラムの決定は州に一任されているのです。教育政策が州の「文化高権」を尊重した例であると言えます。
 このように、「常設各州文部大臣会議」での緩やかなつながりが保たれつつ、州ごとに独自の政策が決定されてゆくのが、ドイツの教育です。

2.「複線型」の教育制度
 同じ敗戦国でも日本とドイツの歩みは異なっていました。アメリカというひとつの国に占領された日本と異なり、ドイツは、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連邦の4つの連合国による分割統治を受けました。
 当然、日本とドイツとでは、戦勝国の占領政策もそれぞれ異なりました。
 日本に対する占領政策は、6-3-3-4制の「単線的」な教育制度を導入しました。
 旧西ドイツでは、アメリカ的な「単線的」教育制度の導入に抵抗し、その結果、それぞれの州が戦前からの複数(原則3種類)の、「複線的」教育制度を保持することになったのです。
 教育課程は、大きく4つの段階に分けられます。具体的には、
  ●第1学年から第4学年までの「初等教育」の段階、
  ●第5学年から第9学年あるいは第10学年までの「中 等教育Ⅰ」の段階、
  ●第10学年(または第11学年)から第12学年(または第13学年)までの「中等教育Ⅱ」の段階、
  ●それ以降の「高等教育」の段階、
となっています。
(学年は中等教育以降も、初等教育からの年数で数えられます。)
 初等教育は、ドイツのほとんどの州で4年間の「基礎学校」での教育が設けられていますが、ベルリン州とブランデンブルク州では、6年間を「基礎学校」教育期間として設けています。

【ドイツの教育制度】

 

2.1.初等教育
 日本でいう小学校は、ドイツでは「基礎学校(Grundschule)」と呼ばれています。入学年齢と入学時期を確認しておきましょう。
 新年度は8月1日からはじまります。原則として、6月30日に満6歳に達した子供が対象となりますが、その年の12月31日までに満6歳になる場合には、親が申請し、学校が認めれば、入学することもできます。
 「基礎学校」(多くの州では、6歳から10歳までの4年間)を修了した子どもたちは「複線型」の中等教育課程に進みます。ドイツの義務教育は原則9年(州によっては10年)なので、初等教育4年間と中等教育のはじめの5年間(州によっては6年)が義務教育期間になります。

2.2.中等教育
①多様な学校タイプ
 中等教育は
  ●基幹学校(Hauptschule):5年制
  ●実科学校(Realschule):6年制
  ●ギムナジウム(Gymnasium):8年制(または9年制)
に分かれています。
 それぞれのカリキュラムで将来の職業に結びつく教育が体系的に行われています。州によっては「総合制学校(Gesamtschule)」もあります。このような「3分岐型」(「総合制学校」を含めると「4分岐型」)学校制度が、ドイツの教育の特徴です。

 「基幹学校」の卒業生は、職業訓練を受けた後に職人になったり、単純労働に携わることが多いとされています。
 「実科学校」の卒業生は、全日制の職業学校で学ぶか、職業訓練を受け、公務員や技術者になるのが一般的です。
 アビトゥアに合格した「ギムナジウム」の卒業生は、大学に進学して高等教育を受けることができます。「ギムナジウム」の最終段階、つまり「中等教育Ⅱ」の段階では、いわゆる「リベラルアーツ教育」を受けることになります。分かりやすく言えば、日本の大学の教養課程の学業にかろうじて匹敵するような教育を受けるわけです。
ヨーロッパの多くの国の事情にあわせ、ギムナジウムは、徐々に「9年制」から「8年制」へと短縮化(「G8」と言います)されました。その後、この短縮化によって新たな課題も生じ、州によって8年制か9年制かを選択できるようになりました。

②「中等教育Ⅱ」に含まれる職業教育
 ドイツの教育制度の特徴として挙げられるものには、「基幹学校」と「実科学校」の卒業生が主に受ける職業教育があります。全日制の職業学校のほかにも、「二元制度(duales System)」と呼ばれる企業内訓練、あるいは、定時制職業学校での訓練があり、自らの職業に関する専門知識や教養理論を学ぶ制度があります。
 訓練終了後に資格を得ることができ、それにより、社会において一定の地位を占めることが可能となります。学校教育と職業教育の両方を組み合わせるこの「二元制度」により、複合的な知識をつけ、実践力をともなったより高い専門性を目指すという考え方があるのです。

3.高等教育
 ギムナジウム卒業試験(アビトゥア)に合格した生徒は、原則として、すべての大学に進むことができます。大学進学率が高まり、特定の分野では定員上、入学制限がかかることもあります。その際、アビトゥアの成績が参考にされます。大学は大きく分けて、総合大学、専門大学、芸術大学、映像大学、音楽大学などがあります。取得できる修了資格は、大学や専門によって異なります。
 グローバル化に伴い、制度を共通化しようという世界的な流れの中で、ドイツの大学も変革の時期を迎えています。

4.今後の課題
 独自性を保ってきたドイツの教育制度も、高等教育でのヨーロッパ統一基準を示した「ボローニャ宣言」の影響を受けています。ドイツの大学でも、これまでの「マギスター」という資格を廃止し、「バッチェラー」や「マスター」の資格を導入しました。ギムナジウムの修了年次を1年短縮したのも、より早い段階でドイツの若者に高等教育を受けさせるためです。このような制度変更のため、教育内容の見直しが迫られ、課題が累積しています。ギムナジウムでしっかりとした「リベラルアーツ教育」を行うことが難しくなっているのです。
 このようにグローバル化が進んだ現代では、各国では自国の教育が世界でどのような位置を占めるかに関心が集まっています。ドイツも例外ではありません。「経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)」が実施する「学習到達度調査(Programme for International Student Assessment: PISA)」の結果は、「PISAショック」と言われるほど、ドイツの教育界に大きな衝撃を与えました。
 ドイツの学校に在籍する移民の子どもたちの人数が増えるにつれて、学力格差が広がり、それがドイツ全体の教育として出される数値に大きく反映した結果とされています。格差が広がることにより、国際競争力が低下することを抑えるためにはどのような教育政策が求められるのでしょうか。今後の調査・研究に、より一層期待が寄せられています。
 現代の教育制度は、国内問題だけに目を向けるのではなく、対外的にどのように評価されるのかを考察の射程に入れなければならないのは、ドイツでも同じなのです。

3.教科書の内容

 ドイツでは、教育制度は16の州の管轄になっているので、教科書の選択基準も州によって異なります。中等教育も、ギムナジウム、実科学校、基幹学校といった3分岐型(州によっては総合制学校も加えた4分岐型)なので、学校種にあわせた教科書が選択されます。つまり、州ごと、学校種ごとの選択になるのです。そのため、教科書の種類はとても豊富です。
 また、教科書の使用方法も日本と大きく異なります。教科書が「リサイクル」されているのです。学期のはじめに、先輩が使用した教科書が配布されます。表紙の裏には、それまで借りた生徒の名前、クラス、年度が書かれている紙切れが貼られています。生徒は、学期中、教科書を汚さないようカバーをかけるなどし、大切に使い、学期末に学校に返却します。このような方法で教科書が使われています。
 それでは、教科書の内容を見ていきましょう。
 『ドイツ語』『歴史』『算数』の教科書をご紹介していきます。

『ドイツ語』5年生用
 4年間の初等教育を終え、中等教育を受け始める子どもたち向けのドイツ語教育のための教科書です。ドイツ語を母語としない、移民の背景を持つ子どもたちも多数在籍するドイツの学校では、ドイツ語教育はとても重要です。もちろん、ドイツ語を母語とする子どもたちにとっても重要な科目です。ドイツ語教育では、言語を用いた対人コミュニケーションの訓練が行われています。
新しい学校生活に慣れ、友人を作るには、気持ちよくコミュニケーションをとっていく必要があり、そのための工夫が導入部分に見られます。
 また、新生活について、かつての旧友(基礎学校<日本で言う小学校>の友人)へ便りを送る、という設定で、手紙やメールの書き方を学ぶ工夫がなされています。
(Deutsh.punkt 1(国語 5年生) 10-11頁、14-15頁、18-19頁 翻訳は省略)

 

『歴史』9-10年生用
 ドイツは「過去の克服」に真摯に向き合っています。ドイツがヨーロッパ統合の歩みの中で重要な役割を担うことが可能になった背景には、近隣諸国からの信頼を取り戻すための努力がありました。「過去の克服」に取り組んできたことをドイツが世界に示し、外交関係を発展させる契機としてきたのです(石田2005)。
 たとえば、ブラント元西ドイツ首相(Willy Brandt: 1913-1992 <首相在位1969-1974>)は、ワルシャワ・ゲットー碑の前に跪き、全身で謝罪の気持ちを表しました。これはドイツの「過去の克服」の象徴的な場面の一つとされています。
 ヴァイツゼッカー元大統領(Richard Karl Freiherr von Weizsacker: 1920-2015 <大統領在位1984-1994>)の言葉にもあるように、9つもの国と国境を接するドイツにとって、国境はまさに隣国との「架け橋」です。ドイツ統一とヨーロッパ統合とは、歴史的歩みの中で密接な関係を持っています。また、「過去に目を閉ざすものは結局のところ現在にも盲目となる」「非人間的な行為を心に刻もうとしない者はまたそうした危険に陥りやすいのだ」というヴァイツゼッカーの言葉は国際的にも有名です。
 ヨーロッパの枠組みで「ホロコースト」を次世代にどう伝えるか、つまり歴史をどう教えるかに関して、ドイツはその議論を先導しています。
 とはいえ、ドイツの歴史教育にも盲点がありました。それは、いわゆる「普通のドイツ人」がナチの時代にどのような犯罪行為を行なったかに関して、終戦直後はあまり語られなかったことです(川喜田2005)。ホロコーストはドイツ人すべてに関わる出来事であったということが明らかになり、「見て見ぬふりをする」ことに対しても一定の責任を問われるようになった経緯がありました。
 歴史教育においても「普通のドイツ人」の責任が問われるようになったのは1960年代以降のことです。
 個々の事例では歴史認識の揺らぎがあるものの、ドイツにおける現代史教育は対外政策を考えるうえでも重要であり、ドイツの歴史認識のあり方は、国際社会で高く評価されています。
 本教科書展では、普通のドイツ人の責任を問うことについて記述されたページ、および、ヨーロッパ統合の中心的役割を担うドイツにおいて、それが教育においてどのように教えられているのかをご紹介します。(Zeitreise 3 (歴史 9-10年生) 8-9頁 翻訳は省略)
 ドイツをはじめヨーロッパでは、主に社会科の学習と外国語学習を統合した教育が試みられています。この教育方法は、CLIL(Content and Language Integrated Learning)(日本語では、「内容言語統合型学習」とも言います)呼ばれています。内容と言語の両方を学ぶことができるこの方法で、発信力を身につけさせようとしています。
ここでは、英語で書かれた歴史教科書をご紹介します。特に1938年11月9日のポグロムは、「帝国水晶の夜」とドイツ語で表現されることも多いですが、英語では「割れたガラスの夜」と表現されています。
 歴史的事件の呼び方も言語によって異なっているということを学び、ものごとを相対的に考える力を身につけることができます。ドイツのCLILは、平和構築にむけた相互理解を目的とするところからはじまりました。(Spotlight on History, Volume2 58頁、Zeitreise 3 (歴史 9-10年生)40-41頁、160-161頁 翻訳は省略)

 

『算数』1年生用
 1993年に発効したマーストリヒト条約により通貨統合が行われ、ドイツもその中に入りました。ドイツにとって、経済復興の象徴であったマルクを捨て、ユーロを導入することは大きな賭けでもありました。ユーロ導入をめぐって賛否両論もありましたが、今では、子どもたちも算数の教科書で、具体的にユーロを使った計算の練習をするようになりました。ある意味でヨーロッパ統合の象徴的な部分とも言えるページをご紹介します。(『Super M 1 Mathematik fur alle (算数 1年生) 58-59頁、60-61頁、90-91頁 翻訳は省略)

 

(参考文献)
・石田勇治(2005)『20世紀ドイツ史』白水社
・川喜田敦子(2005)『ドイツの歴史教育』白水社
・木戸裕(2012)『ドイツ統一・EU統合とグローバリズム━教育の視点からみたその軌跡と課題』東信堂
・木村護郎クリストフ(2005)「隔てる国境からつなぐ国境へ━ドイツ東部国境地域における言語環境構築の諸相」宮島喬『西欧諸国における地域分権・地域主義の動向とその社会・文化的影響』平成15-16年度科学研究費補助金・基盤研究B(1)海外学術調
査・研究成果報告書、立教大学社会学部、101-123頁
・大谷泰照、杉谷眞佐子、橋内武、林桂子(編著)(2015)
『国際的にみた外国語教員の養成』東信堂
・森住衛・古石篤子・杉谷眞佐子・長谷川由紀子(編著)『外国語教育は英語だけでいいのか━グローバル社会は多言語だ!』くろしお出版
・マックスプランク教育研究所研究者グループ(1994、天野正治・長島啓記・木戸裕(翻訳、2006))『ドイツの教育のすべて』東信堂
・Bausch,K.R.,Christ,H., Krumm, H.J. (Hg.) (1995) Handbuch Fremdsprachenunterricht (3. Aufl.), Tubingen und Basel: A. Francke Verlag.

「ドイツの大学システムの概要」DAAD(ドイツ学術交流会)
http://tokyo.daad.de/wp/ueberblick-hochschulsystem/

入場者の感想

(入場者285名中230名がアンケート回答、その中より抜粋)
・ドイツと日本の違いを教科書だけでも感じます。「歴史と今」、この姿勢は見逃してはならないと思います。(本学卒業生)

・日本とドイツの教科書の違いを見ることができました。ドイツのほうが文字数が多いし、考えること(課題など)が多い気がします。算数(1年生)も、数の概念形成のためにやっていることが日本とは少し違っていて、ドイツ方式のほうが子どももすんなり理解できるのでは?と考えさせられました。教科書展のクオリティが上がっていてびっくりです!ありがとうございました!(本学卒業生)

・一緒に訪れた友人が教師をしており自身の今後の教師生活において非常に良い学びとなったようでした。(本学卒業生)

・教科書のリサイクルはドイツ以外でも多くの諸外国で行われています。日本と比べ教科書の作り・カラーなど様々な点で工夫がされていると感じました。展示についても、文字の説明だけでなく、展示物も充実していて、内容だけでなく目で見ても楽しめるものでした。とてもよかったです。(本学学生・院生)

・世界の教科書展に来たのは初めてでびっくりすることや初めて知ったことが多くておもしろかったです。(本学学生・院生)

・自分の学校の教科書よりも分かりやすくてうらやましかったです。ドイツの教科書なのに英語も書いてあって、ドイツ人の子供は若いころから多言語をしっかり学んであたりまえのようになっていて、すごいと思いました。(高校生)

・ドイツに行きたくなったよ。(小学生)

・ドイツの教育制度と日本の教育制度との違いが少しわかりました。歴史に関しては、具体的な説明があり、とてもよくわかりました。日本もドイツに学ぶところがありますね。また、実際の教科書を手に取り拝見でき参考になりました。毎年違う国の展示があるようなので、来年も楽しみに伺います。(本学学生の家族)

・教科書の展示が何年にもわたって行われていることをはじめて知りました。それぞれの国の教育事情がわかって興味深く見学しました。(本学学生の家族)

・iPadの事前インタビュー記録がわかりやすかったです。(本学教職員)

・ドイツの教育が複線型であって、10歳以降は自らの進むべき道をある程度見すえて進路を決めていく点や、職業教育、職人への道も一つの道としてメジャーであり、子どもたちにも身近であることは日本と大きく違うなと思いました。また、歴史的な点もふまえてドイツの教育について学ぶことができたのはとてもわかりやすくよかったです(本学教職員)

・もっとじっくり拝見したい内容でした。たいへん刺激をうけました。教科書を通した目で国際交流がすすむと、国民性による発想の差もわかり、豊かな成果があるのでしょうね。ありがとうございました。(一般)

・教育の先進国であるドイツの教育が置かれているHOTな現状がわかりやすく展示されていました。ふだん手に取る機会のない実物の教科書を見る貴重な体験をさせていただき感謝です。(一般)

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