所長あいさつ

 生活科学研究所は、創設提案者である水島恵一が1976年に生活科学研究所の前進となる研究部を計10名の構成員で設立しました。創設当初から、水島は「人文・社会学的な面と自然科学的な面を融合させ、『生活している人間』という観点から学としての生活科学を開拓する」という目的を掲げ、実践科学としての総合性を重視する生活科学、人間科学を提唱しました。
 本研究所は水島恵一の遺志を継承し、現在も人間の生活に関わる多様な専門分野の研究者が集い、活発な研究活動を行っています。個人研究、及び共同研究プロジェクトを実施し、研究報告会や研究紀要の発刊による研究成果の公開に努めています。さらに一般対象の公開講座を実施し、地域貢献を行うことを生活科学研究所の使命のひとつと捉えています。
 生活科学研究所は今後もさらなる生活科学、人間科学の進展と、社会への貢献を目指して様々な事業に取り組んで参ります。何卒、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

生活科学研究所所長 金藤ふゆ子

沿革

1.生活科学研究所の沿革-設立の経緯と目的-
 生活科学研究所は、1976年(昭和51)に人間科学部の誕生に伴う家政学部の発展的解消を機に、生活科学研究部として発足したことに端を発する。本学の80年史に記載される「生活科学研究所」の記載を紐解けば、設立当初から「人文・社会学的な面と自然科学的な面を融合させ、『生活している人間』」という観点から学としての生活科学を開拓していくこと」(1)がめざされた。また「単なる(中略)人間の身体的生活行動から心的生活行動へ、その環境、歴史、精神をも対象に取り組むような形で活況のあるスタート」(2)を遂げたとされ、設立当初から学際的なアプローチによって学としての生活科学の探求・確立をめざすという目的が掲げられた。
 組織設立の提案者である故水島恵一(元家政学部、人間科学部教授・学長)の呼び掛けにより、発足当初の生活科学研究部は専任教員6名と助手4名の計10名によって構成された。設立の趣旨に添うように、構成員は様々な専門領域の研究者によって組織化された。旧家政学部の所属から人間科学部及び教育学部中等家庭専攻に分かれた教員を中心としつつ、その専門分野は社会学、心理学、社会心理学、栄養学、食品学、調理学、衛生学など多様な学問分野の研究者が含まれていた。
 発足から10年を迎え、1986年(昭和61)に生活科学研究部は生活科学研究所へと組織を発展的に改組した。当時の研究所の構成員は人間科学部所属の9名、教育学部所属の13名の計22名であった。組織改組と同時に、研究所内には下部組織として研究部と研修部の二部が設けられた。その後、1990年(平成2)に研究部・研修部の各部に主任が配置されることとなり、現在に至っている。研究所設立当初は、当時大学内にあった5つの学部から運営委員が選出されて運営委員会を開催することとなり、名実ともに全学的組織としての活動が開始された。
 発足当初と比較すれば、研究所は後述するように学内外の多くの研究者によって構成され、また多様な学問分野の研究者の参加する研究組織となっている。現在も設立当初の生活科学の探求をめざすことは言うまでもない。同時に当研究所の活動は、人々の生活に関わるさまざまな事象や問題を学術的に研究及び教育を通じて、人々の生活の向上及び地域社会の進歩発展に貢献することをめざしている。即ち生活科学研究所は、生活科学の探求を通じて学問的貢献をめざすと共に、実践への貢献をその使命と捉えている。

【参考文献】
(1)文教大学編『文教大学学園創立80周年誌』,p141引用。
(2)同上

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