戻る                                              次へ


2.3  コミュニケーションにおけるお酒の効用について
 

 大学生の生活において飲み会というのは非常に密着しているものであり、友好な対人関係を結ぶ場であったり、コミュニケーションをとる場であったりする。いわばお酒が我々人々を繋ぐ潤滑油の役割を果たしといっても過言ではない。この節ではそうしたお酒がもたらす効果的な役割について検証していきたい。
 

(1)お酒を飲む行為の相違

 お酒好感グループ・非好感グループ別のお酒を飲む行為に関してどのような考えの違いがあるのか調べてみたい。
まず、グループ別に友人知人とお酒を飲みに行くか(以下友人性飲み会)を調べてみた。また、同じようにグループ別の大人数で行われる飲み会(以下集団性飲み会)の参加度について調べてみた。それを表したものが以下の図2-3-1と図2-3-2である。
 どちらの結果もお酒好感グループのほうが友人性・集団性飲み会ともに参加度が高いということが顕著に現れた結果となった。やはりお酒が好きな人はお酒の付き合いも積極的であると言える。



 

 次にお酒好感グループと非好感グループ別のお酒が与える効果の違いについてを以下の図2-3-3に示す。この図は様々なお酒を飲む行為に対して、「1.あてはまる」〜「5.あてはまらない」の5段階評価をしている。1に近ければあてはまる度合いが高くなっているということである。

 この結果を見ると否定的な効用の「義務的な人付き合い」を除いてはお酒好感グループのほうがお酒に対して肯定的な評価を出していることがわかった。お酒嫌いな人にとってはお酒の付き合いは決してよいとは感じていないようだ。いずれにせよお酒好きの人のほうがお酒への効用をよく感じている人が多いようだ。
 項目別に見ていくと対人とのコミュニケーションに関わっている項目のほうが当てはまる度合いが強い結果となった。また意外にも気分転換もあてはまる度合いが強いということがわかった。しかし趣味の一環といった人や1日の習慣は当てはまるといったお酒が個人的満足と考える項目は学生にとってあてはまる度合いが低いという結果となった。


 
 
 

(2)集団性におけるお酒がもたらす飲み会の雰囲気

 お酒がもたらす飲み会の雰囲気は飲む相手や人数など様々な条件によって異なってくる。ここでは人数の違いによる飲み会の雰囲気と、好きな飲み会の違いについて考察していきたい。
 以下の図2-3-4は普段行われる友人性・集団性別の飲み会の雰囲気についての結果を示したものである。いずれの場合も最も多かった回答はワイワイ盛り上がる飲みが最も多く、続いてしっとり友人などと語る飲みという結果となった。しかし、友人性飲み会は集団性飲み会と比べしっとり友人と語る雰囲気の割合が多い傾向にあった。人数が増えればそれだけ飲み会の雰囲気もワイワイ盛りあがる傾向にあるが、しかししっとり語る割合は少なくなる結果となった。

 次に以下の図2-3-5では好きな雰囲気の飲み会についての結果を示している。先ほどの結果では友人性・集団性問わずワイワイ盛り上がる雰囲気の飲みが最も多かったが、この結果では好きな雰囲気の飲み会はしっとり他人の話を聞く飲みと答えた人が最も多く約67%であった。また先ほどと比べじっくり他人の話を聞く飲みやテレビや音楽を聴きながらが好きだと答えた人の割合も上がっている。3つの傾向を見ると、ゆっくりした雰囲気のほうが好まれる傾向にある。この背景には他人と無理なテンションに合わせずに、自分のペースでゆっくりとお酒を飲みたいという心理の表れであると言えよう。

(3)性格とお酒によるコミュニケーション

 個人の性格はお酒の好き嫌いに何か関連性があるのかと思い、調査をしてみた。お酒に対して積極的と言える行為の、問16「A.友達とのコミュニケーションである」と「C.他人に心を許すことが出来る」に何か個人の性格に関連性がないかと思い調べた。以下の図2-3-6、2-3-7は問16「A.友達とのコミュニケーションである」と「C.他人に心を許すことが出来る」の結果を示したものである。
 両結果を見ると特に図2-3-6ではあてはまる人は非常に多く、ややあてはまる人も含めると9割以上と、お酒はコミュニケーションに効果があると感じているようだ。また他人に心を許すことが出来ると答えた人も半数近くおり、お酒は対人関係を繋ぐ潤滑油として効果があると言える結果となった。 
 


 
 

 別の設問で性格を聞いているが、それによると外交的な人は62.8%、非外交的な人は36.4%である。そこで外交的性格と感じている人と「A.友達とのコミュニケーションである」の関連性を調べたものが以下の図2-3-8である。図2-3-6の結果を踏まえ2グループに再定義し、行為があてはまるグループを「コミュニケーション促進グループ」、それ以外を「コミュニケーション非促進グループ」に分けて、集計した。
 いろいろな人と知り合いになるのが楽しみだという外交的性格の人はお酒の席でもコミュニケーション強グループにあてはまる人が多い傾向が見られた。やはり普段外交的な人はお酒の席でも積極的な効果が得られると感じているようである。
 


 

 他人に対して友好的か否かを聞いている設問によると、友好的な人は65.1%で、非友好的な人は34.1%であるので、友好的性格と感じている人と「C.他人に心を許すことが出来る」の関連性を調べたものが以下の図2-3-9である。図2-3-7の結果を踏まえ2グループに再定義し、行為があてはまる、ややあてはまるグループを「自己解放促進グループ」、それ以外を「自己解放非促進グループ」に分けて、集計した。
 人には暖かく友好に接している人という友好的性格の人はお酒の席でも他人に心を許せる「自己解放促進グループ」にあてはまる人が多いという結果となった。普段友好に接している人はお酒の席でも他人と友好に接し心を許すことが出来る(自己解放促進)と感じているようである。


 
 

(4)両親が与える飲酒行動の違い

 ここでは両親が飲酒行動に与えている影響がないか調べてみた。まず以下の図2-3-10では両親がお酒を飲むかという設問に対する単純集計の結果と、図2-3-11は親子でお酒を飲むことがあるかという設問に対する単純集計の結果である。

 両親ともお酒を飲むと答えた人が4割以上を占め、片方どちらかお酒を飲む家庭を含めると、8割以上家庭でお酒を飲まれているという結果となった。しかし、親子ではあまりお酒は飲まれておらず、全く飲まないが多く約42%であった。


 

 次にお酒好感・非好感別の両親の飲酒状況についての結果を以下の図2-3-12に示す。やはり好感グループのほうが両親もお酒を飲んでいる人が多いことがわかった。特に父親が子供の飲酒に影響を与えているとこ図を見て言えよう。また非好感グループは両親ともに飲まない家庭が好感グループに対して割合が高いことがわかった。


 

 次に両親の飲酒状況を「両親ともに飲む」「父・母片方だけ飲む」「どちらも飲まない」の3グループに分けて別に集団性飲み会の参加の関係について調べたものを以下の図2-3-13に示す。両親ともに飲むグループが最も参加度が高く、両親ともに飲まないグループは集団性飲み会の参加度も低いという結果となった。やはりここでも両親の与える飲酒行動は子供の飲み会の参加にも影響を与えているとも言える。


 
 


目次へ                                              次へ