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2.1 音楽情報誌とインターネット利用
(1)音楽雑誌購読量と、そのネット使用開始前後の量の変化まず、「音楽情報誌をどれくらい読んでいますか」という設問をおき、雑誌購読量を調査した。結果は以下の図2-1-1のとおりである。ほとんど読まない・まったく読まない・好きなアーティストが載っている時のみ、という回答が目立つ。定期的に読まれているのは13%である。
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次に、「インターネット利用前後での、雑誌を読む量の変化」の設問で、インターネットの登場は雑誌の購読量に影響を与えているのかどうかを調べてみることにした。その単純集計の結果が以下の図2-1-2のとおりである。
変わらない、という回答が圧倒的に多いが、少なくなった層も約20%を占めている。![]()
また、これらをクロス集計し、雑誌購読頻度別で見たネット使用前後の量の変化を調べてみた。なお、雑誌購入頻度において、
「毎月定期購読している・月に2,3冊程度・月に1冊」→「1 定期購読〜月に1冊」
「好きなアーティストが載っている時のみ」→「2 好きなアーティスト掲載時」
「ほとんど読まない・まったく読まない」→「3 ほとんど読まない」
の3グループに再定義した。
以下の図2-1-3から、どの層も雑誌を読む量が少なくなったと感じているが、特に「好きなアーティストが載っているときに限って読む」という層で、減少が40%と顕著であることがわかる。![]()
(2)音楽雑誌購読量とインターネットから音楽情報を得る頻度
「音楽について調べる際、どのくらいの頻度でインターネットを利用しているか」という設問で、音楽情報の情報源としてインターネットは重要であるかどうかを調べた。単純集計は以下の図2-1-4のとおりである。
グラフから、ネットを利用して情報収集するのは「週に数回」と「必要であると感じたとき」が多いことがわかる。![]()
また、雑誌購読量とネット使用頻度との関係を調べた結果が、以下の図2-1-5のとおりとなった。なお、音楽に関するインターネット利用頻度を
「1日に数回・1日に1回」→「1 毎日」
「週に1回・週に数回」→「2 週に1〜数回」
「月に1回・月に数回」→「3 月に1〜数回」
「必要な時のみ」→「4 必要な時のみ」と再定義した。
この図から、「雑誌をほとんど読まない」層はネット使用頻度に関しては「必要を感じたとき」のみに使用するという傾向がわかる。また、中の2つの層は、週に1〜数回の比率が高くなっている。また、「定期購読〜月に1冊」の雑誌を読む頻度が高い層ではネット利用の頻度も高い。全般に、雑誌をよく読む層ほどにインターネットの利用頻度が高い。![]()
2.2 音楽情報とインターネット
(1) インターネットを利用する理由
「音楽情報をインターネットから得る理由」という設問の単純集計を行ったところ、以下の図2-2-1のような結果が得られた。(複数回答)
もっとも大きな理由は「いつでも見られる」で、次に「情報が早い」、「欲しい情報が得られる」など、情報入手の利便性が高く評価されている。
それに対して、「コミュニケーション」や「チケット、CD購入」といったインタラクティブな利用は、評価されていない。![]()
(2)インターネット利用頻度とその理由
次に「音楽情報でのインターネット利用頻度」層別に、「インターネットを利用する理由」がどのような関係にあるかを調べるため、クロス集計を行った。結果は以下の図2-2-2のとおりである。
インターネットの利用頻度が高い層では情報の早さがインターネットを使う大きな理由といえる。どの層においても、比較的情報が早いこと、いつでもみられることの二つは比率が高い。
それに対して「毎日」層は安価であること、画像保存ができることを評価している。
また、「必要時に限りインターネットを利用する」層では、情報の速さといったことよりも、欲しい情報が得られること、いつでも見られることを重要視していることが分かる。![]()
(3)音楽視聴時間とインターネット利用時間
音楽に対する興味・関心の程度を知るため、「あなたは1日に音楽をどのくらい聴いていますか」という設問をおいた。その単純集計の結果は以下の図2-2-3のとおりである。
2時間以上聴いているのが約3分の1、1〜2時間が約3分の1、1時間未満は約4分の1で、ほとんど聴かない、全く聴かないという層はほぼ10%である。ほとんどの人がかなり長時間、毎日音楽を聴いているということがわかる。い
次に、この単純集計の結果と、インターネットの利用頻度とでクロス集計をした結果が、以下の図2-2-4のとおりである。なお、1日の音楽視聴時間を
「1時間未満・1時間〜2時間未満」→「1 2時間未満」
「2時間〜5時間未満・5時間以上」→「2 2時間以上」
「ほとんど聴かない・まったく聴かない」→「3 聴かない」と再定義した。
図2-2-4から、音楽を聴く時間が長い層ほど、インターネットを利用して情報を得る頻度が高い傾向にあることがわかる。また、あまり聴かない層では、必要な時や月に数回などという、習慣ではなく、情報がほしいときにのみインターネットを利用するという傾向にある。
(まとめ)調査前の段階においては、雑誌の購読量はインターネットの普及により減少傾向にあると考えていた。しかし、今回の調査では変化無し、と回答した層が最も多く見られ、インターネットの音楽サイトは雑誌の購読量にさほど影響しないということがわかった。だが、少なくなったと回答している層も20%おり、それはその中でも好きなアーティストが載っているときにしか雑誌を購入しない層に最も多く見られた傾向である。このことによって、もともと雑誌を購入する量が少ない層はネットのサイトに移行し、定期的に雑誌を読む層においては以前と変わりがない、と言えるのではないか。
また、インターネット利用頻度と雑誌購読量では、ネット利用頻度が高ければ雑誌購読量も多く、また、利用頻度が低ければ購読量も少ない傾向がみられる。ネットのヘビーユーザーは雑誌からも多くの情報を得ており、逆にライトユーザーは雑誌から得る情報も少なく、情報量に差がある。次に、インターネットに接続している頻度別の音楽情報をインターネットから得る理由では、「情報が早い、いつでも見られる」と回答した層は頻度に関係なく多く見られる。「詳細な内容が得られる、欲しい情報だけ得られる」については週に1回や、必要な時のみといったあまりインターネットを使用しない層からの回答が多かった。
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