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2.3 音楽情報を入手する際に利用する手段音楽に関する情報(図2-3-1参照)をどのような手段で得ているか、それぞれ「新聞」、「雑誌」、「テレビ」、「ラジオ」、「ポスター・チラシ」、「友人・知人」、「インターネット(パソコン)」、「インターネット(携帯電話)」、「ファンクラブ会報」、「その他」、「特にはない」の11項目の中から一つだけ選んで回答してもらった。
そのうち、全体的に利用頻度の多かった上位3位の入手手段、雑誌、テレビ、インターネット(パソコン)を、図に表してみることにした(図2-3-1)。図2-3-1は、インターネットの比率が高い項目順に書いている。全体の傾向としては、インターネットの利用が様々な項目で多いが、右側ではテレビや雑誌に高い項目がある。
インターネットの利用度合いの高い情報は、コンサート関連の情報や活動経歴、アーティスト本人からのメッセージ等、非常に個別的な情報で、またしばしば更新される情報が多い。このような点で、インターネットが潜在力を発揮していることが分かる。
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図2-3-1 音楽情報を入手する際に利用する手段 ―上位3項目―(n=105) 図2-3-1より、全体の傾向として、「雑誌」、「テレビ」、「インターネット(パソコン)」から情報を得ている人が多いことがわかる。反対に、「新聞」や「ラジオ」から情報を得ている人は、ほとんどいなかった。
中でも、「リリース情報」は、43.8%で圧倒的に「テレビ」から、「コンサート会場へのアクセス」は、56.2%で半数以上を「インターネット(パソコン)」から、「アーティストの写真」は、40.0%で圧倒的に「雑誌」からと、それぞれずば抜けて利用度の高い項目があることは、目を引く結果となっている。次に、右から2つの「インタビュー」や「アーティストの写真」において「雑誌」が多いのは、「雑誌」の方が鮮明であるし、記事の保存性に富んでいるからだと言えよう。
最後に、「リリース情報」や「今までリリースされたCD」において「テレビ」が多いのは、情報内容が簡単で、歌番組や情報番組で取り扱われる頻度が多いからだと思われる。
このように見てくると、情報の種類・特性を反映したメディア利用面での棲み分けが成立していることが分かる。
2.4 今年映画館へ行った回数と映画情報でのインターネット利用頻度
調査では、「今年映画館へ行った回数」を聞いている。その結果を、図2-4-1に示す。10回以上行っている人もいるが、大筋としては、約4分の1が5回以上を、3〜4回が約4分の1、1〜2回が約4分の1である。かなりの回答者が映画を見ている。
次に、「映画情報を入手する際のインターネット利用頻度」を調べている。その結果、映画情報を入手する際にインターネットを利用する人は、63人いることが分かった。
そこで、「映画館へ行く回数」と「映画情報入手でのインターネット利用」の関係を調べるために、クロス集計を行った。
なお、今年映画館へ行った回数には、「5〜10回未満」と「10回以上」を「5回以上」、「1、2回程度」と「3〜5回未満」を「1〜4回」とした。その結果を図2-4-2に示す。
図2-4-2 今年映画館へ行った回数と映画情報でのインターネット利用頻度(n=63)
(χ2p=0.018)
図2-4-2より、映画館へ行く回数が多い人ほど、映画情報を入手する際、インターネットを利用する頻度が高いことがわかる。
5回以上行っている人は、約半数がインターネットを恒常的に利用し、約3分の1週に1回以上利用している。一方、1〜4回では、恒常的に利用する人は2割強となる。その代わりに、「必要な時のみ」が増加している。
そして、全体の傾向として、映画情報を入手する際にインターネットを利用するのは、「必要な時のみ」であることがわかる。
ここでは、必要な時にいつでも利用することができるという、インターネットの利便性が活用されている。
その他の点として、今年映画館へ「5回以上」行った人においては、19.0%の人が、「一日に一回以上」、映画情報を入手する際に、インターネットを利用すると答えているのに対し、今年映画館へ「1〜4回」行った人では、「一日に一回以上」利用すると答えた人は、一人もいないという結果となった。
2.5 映画情報を入手する際に利用する手段
映画に関する情報(図2-5-1参照)をどのような手段で得ているか、それぞれ「新聞」、「雑誌」、「テレビ」、「ラジオ」、「ポスター・チラシ」、「友人・知人」、「インターネット(パソコン)」、「インターネット(携帯電話)」、「劇場」、「その他」、「特にはない」の11項目の中から一つだけ選んで回答してもらった。
そのうち、全体的に利用頻度の多かった上位3位の入手手段、雑誌、テレビ、インターネット(パソコン)を、図に表してみることにした(図2-5-1)。
図2-5-1 映画情報を入手する際に利用する手段 ―上位3項目―(n=105)
全般的傾向としては、上位3つの手段の中でも、テレビが最も多く利用され、汎用的な情報源になっていることが分かる。
中でも、「新作情報」が68.6%、「ランキング」が64.8%、「舞台挨拶の様子」が62.9%と、3項目において、テレビが全体の半数以上の割合で利用されているという結果は、象徴的である。
これに対して、雑誌、インターネットは利用頻度が低く、唯一テレビより高いのは、「上映スケジュール」である。テレビはマス情報であるために、個別の映画館の情報を流すことができないためで、その代わりにインターネットや雑誌が利用されている。
最後に、音楽情報と映画情報でのメディア利用の差がどのように生じるのかを考えてみたい。最も大きい差は、映画と音楽の多品種少量性の差にあると考えられる。
音楽は大勢のアーティストが、それぞれ様々な曲を流し、CDを制作する。従って、話題の単位は極めて数が多い。よって、音楽は情報選択性が強いインターネットに向いている情報である。
これに対して映画作品数は、一桁ないしは二桁は少ないであろう。この点で映画は多品種少量的な情報ではない。マスメディアに適合する情報なのである。唯一多品種少量的な映画は、「上映スケジュール」である。
このような情報の性格の差が、メディア利用の差に反映されているのが分かる。
2.6 映画情報についてのインターネット利用頻度と利用理由
映画情報を入手する際に、インターネットを利用する63人の回答者を対象として、映画情報を入手する際のインターネット利用頻度と、その理由を尋ねた。「利用頻度により、利用する理由に違いが生じるか」ということを推測するためである。
そこで、「映画情報でのインターネット利用頻度」と「映画情報においてインターネットを利用する理由」のクロス集計を試みた。その結果を、図2-6-1に示す。
なお、映画情報においてインターネットを利用する理由においても、「情報が早い」、「いつでも見られる」、「コストが安い」、「分かりやすい」、「詳細な内容が得られる」、「欲しい情報だけ得られる」、「予告(動画)が見られる」、「チケットやグッズが購入できる」、「画像の保存ができる」、「コミュニケーション手段がある」、「その他」があり、結果としては、10人以上回答者がいたものだけを図に表すこととする。
図2-6-1 映画情報についてのインターネット利用頻度と利用理由(n=62)
図2-6-1より、「いつでも見られる」、「情報が早い」、「詳細な内容が得られる」、「欲しい情報だけ得られる」という理由から、映画情報を入手する際、インターネットを利用する人が多いことがわかった。これらの項目は、インターネットの特性を反映した結果だと言えよう。
しかし、「週に一回以上」見る層と、他の2つの層は傾向がかなり異なっている。
「週に一回以上」見る層は、全般に多い理由では概して小さい。見ることが日常化しているために、価値が感じられにくくなっていると思われる。
これに対して「予告が見られる」だけが高い、映画館に行く回数が多い人たちは、インターネットを頻繁に利用しているが、そのために予告情報が他の2つの層より重要になっているためである。
以上より、「利用頻度別の利用理由の差」は、映画館に行く度合いと密接に関係していることが分かる。
以上の項目、担当 a0p11055 加藤明子