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3.2 多機能使用について

 多機能についての調査には代表例としてカメラ機能アプリ機能を取り上げた。他にも様々な多機能(通話・メール機能とはあまり関係のないもの)が存在するが、どの携帯電話会社もある程度の時期(2章参照)から導入していて普及率も高めなためである。

 まずはカメラ機能についてである。全体の7割の人がカメラ付き携帯電話を所有し、カメラが付いていない携帯電話を持っている人は約3割にとどまった。
またカメラ付き携帯電話を所有している人の約8割がカメラ付きにしてまだ1台目であることが分かった。2台目の人は約19%、3台目以降の人は約3%だった。(※これ以降のカメラ付き携帯電話についての数値はカメラ付き携帯電話所有者のみの数値である。)

 機種を選ぶ際のカメラ機能の重要度は絶対欲しかった人が約3割、やや欲しかった人が約5割となった。本校の5割強がドコモユーザー、auユーザーが3割のため、まだカメラ付き携帯電話は普及し始めたばかりだということが見受けられる。

 カメラの性能については「購入当時一番高性能だった」約39%、「他の機種と性能は変わらなかった」約14%、「特に気にしていない」約35%、「分からない」約12%と、5割強の人が購入当初の最高性能のものを持っていることになる。
 また、カメラ機能を重要視している人ほどカメラの性能についても気にしていることが分かった。

 次に、アプリ機能についてであるが、カメラ機能と比べるとアプリ機能はそこまで購買意欲を掻き立てるものではないようだ。
 現在アプリ付きの携帯電話を持っている人は約6割、持っていない人は約4割、また、以前は付いていたが現在の機種にはアプリが付いていない人が1%いた。ただ、アプリ付きにして何台目かという問いではドコモを始め、カメラ機能に比べて搭載機種の登場が早かったためか、2台目以降が約4割もいた。
 買い換える際のアプリの重要度は7割以上の人がアプリ機能への関心が低いことが分かった。そのため、性能に関しても7割強の人が「特に気にしていない」「分からない」と答えている。

 使用頻度について、カメラ付き携帯電話にして1台目時(1台目の人は現在)のことを聞いてみたところ、「日常的に良く使っていた」約31%、「旅行など特別な時は使っていた」約32%、「あまり使っていなかった」約31%で、「全く使っていなかった」約5%と、「全く使っていなかった」を除いた3つがほぼ同数だった。また、これも性能についての関心度と同じようにカメラ機能の重要度と比較すると重要度が高いほど良く使っていることが分かった。

 購入直後と現在の使用回数の変化を聞いたところ「増えた」と答えた人が7%、「減った」と答えた人が約46%、「変わらなかった」と答えた人が約46%となった。減った人に購入してどのくらいで使用回数が減ったかを聞くと、最も多かったのが「2週間以上〜1ヶ月以内」約56%、次が「2ヶ月以上」約15%「購入〜1週間以内」約12%となった。カメラ付き携帯電話を始めて持った人の約2分の1が2ヶ月以内で、またその半分、つまり全体の4分の1が2週間以上1ヶ月以内に飽きて使用回数が減ってしまうという結果になった。7割以上の人がカメラ機能を欲し、カメラ付き携帯電話を買っているにもかかわらず、その使用回数はそこまで多くない。

 使用経過についてアプリ機能は少しカメラ機能と違う。使用頻度については「日常的に使っていた」約18%、「旅行など特別な時は使っていた」約5%、「あまり使っていなかった」約48%、「全く使っていなかった」約30%とアプリ機能への関心が少ない分あまり使用もされていないのだが、購入直後と現在を比べたときの使用回数を聞いたところ、約19%の人が「増えた」と答え「減った」と答えて人は約24%だった。「減った」が4.5割以上いたカメラ機能と比べると飽きることはそこまでなく、むしろ、最初は関心がなくても途中から使用し始める人が若干多いようだ。

 上記の結果を踏まえ、多機能使用度を「多機能所持−使用」・「多機能所持−不使用」・「多機能不所持」の3つに分けてみることにした。今回は所有率の高いカメラ機能を取り上げることにする。


表3−3.多機能使用分布
  増えた 変わらない 減った

1.多機能所持−使用 14%
2.多機能所持−不使用 59%

3.多機能不所持 27%

日常的に使用
特別な時のみ使用
あまり使わない
全く使わない

    上で7割以上の人がカメラ機能を欲し、カメラ付き携帯電話を買っているにもかかわらず、その使用回数はそこまで多くないと記したので想像できる部分もあると思うが、結果はこの通りになっている。カメラ付き機能の所有率は7割と多いにも関わらずその半数以上はその機能を有効活用していない。

 この3つの利用層だが、その他の利用度にも影響が出ている。最も利用度の違いが現れたのがメールの送信量である。
カメラ機能をよく使用する人は一日のメール送信量がカメラ機能不使用・カメラ機能なしと比べると明らかに量が多い。カメラで撮った画像をメールで送信してコミュニケーションに活用していることが予想でき、他の層よりも携帯電話をコミュニケーションによく活用していることがわかる。

図3−4.一日メール送信数の平均値
  カメラ使用 カメラ不使用 カメラなし
メール送信数/日 7.5 4.8 4.5

 ただ、この使用度。行動面からみると決してカメラ使用度が高い=先進利用者というわけではないようだ。以下はカメラ使用度別に分ける前の集計結果である。

a:一般的に新商品などが出た場合、誰よりも早く使ってみたくなる
b:友人・知人が何か変わったものを持っているとすぐ欲しくなる
c:何かしようとする時、周りの人たちがどう思うか気にする

  3つ共に大まかに見ると「ある」:「どちらともいえない」:「ない」の比率が2:1:2に分かれている。

 次に図3−9の行動比較をカメラ使用度と掛け合わせてみると、その利用度によって行動傾向が少し異なってくる。
「a.一般的に新商品などが出た場合、誰よりも早く使ってみたくなる」の問いの場合、全体的な傾向とほぼ同じ比率なのはカメラ使用層のみであり、カメラ不使用層は「ある」と答えた人が半数になり、カメラ機能を持たない層は「ない」と答えた人が6割を超えた。これを逆に考えると、新もの好きの方がカメラ付き携帯電話を持つこと・使えることで欲求が満たされ、機能の有効活用にまでは辿り着かないのではないか。

 また、カメラ機能を持たない人の場合、カメラ機能を持たない理由として、1.カメラ機能が普及する前だった2.カメラに必要性を感じなかった の2通りが考えられる。どちらにしても、ロジャーズの普及論でいう「後期多数採用者」または「採用遅滞者」である可能性が高い。流行に流されることなく本当に必要性を感じる時にだけ採用する人が多いことが伺える。ちなみに、カメラ使用度と現在の機種の使用年数を掛け合わせるとカメラ使用度があるほど新しい機種を使っていることが分かる。

 また、「c:何かしようとする時、周りの人たちがどう思うか気にする」という問いとカメラ機能の利用度を掛け合わせてみても似たような結果が出てきた。こちらは、違いが現れたのがカメラ機能不使用の層だけであるが、この層だけ「ある」と答えた人が半数になっている。カメラ不使用層は実際に使うかということよりも周りの流行に流されて何かを採用することの方が多いのだろう。

 

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