佐藤 晋平准教授

専門領域

  • 教育法学
  • 教育哲学
  • 法哲学

自己紹介

いったい、いまなぜ自分がこういうことをしているのか、なぜここへ至ったのか、あまり自分でよくわかっていません。しかし、生きるとはそういうことかとも思っています。目的をもつことが大事、意志が大事などと言いますが、なにしろ、そもそも人間は誕生するときには自分の目的も意志もなかったはず…。重要なのはあとからふりかえって、あのときは必死に生きていたな、と思えることではないでしょうか。それは、生存を賭けた学習でもあります。

わたしは、20歳ころまでに抱いた夢・目標は、予期せぬ出来事に遭遇して、すべて達成できませんでした。ですが、そこでの格闘がいまの私の状況につながっています。それははじめから自分で目指した道ではなく、もがく過程でだれかにも導かれ、偶然ひらけた地平のようなものです。その景色は、過去に自分1人でつくりだした夢や目標より、はるかに素晴らしいものでした。

大学生は多くの未知のものと出会うことも、出会わないこともできます。みなさんにはなにが待っているでしょうか。みなさんとお話しできるのを楽しみにしております。

研究テーマ・研究活動

人間が正義や倫理を求めるのはなぜか(往々にしてそれは苦しいことなのに)を考察しています。また、この正義の探求が苦しいからいやだという主張を、「わたしは正しい!」と正当化する(正義の否定を正義とする)、そうした奇妙に矛盾する存在としての人間について、考えています。

子どもがかかわる裁判事案を追って当事者にインタビューしたりもしていますが、そこでわかるのは、子どもはここで書いた人間のように矛盾していないため、正義をあたりまえに正義と掲げない大人、社会によって苦しんでいるということです。こうした世界を変えられるのか、微力も微力ですが貢献したく、研究しています。

担当科目

  • 教育原理
  • 教職概論
  • 教育行財政
  • 学校経営学特論(大学院)

ゼミ紹介

ゼミでは、哲学、精神分析学、社会学などの文献を読みます。最初は読みつけないもので学生のみなさんはとまどっていますが、読解になれてくると非常に盛んにディスカッションをしています。難解な作業のはずですが、なれてきてみなで荒唐無稽とも言えるような仮説をぶつけあって笑いが絶えないのには、わたしもいつも驚かされます。

文献読解と並んで、フィールドワークのトレーニングもしています。わたしたちは自分が観察し話すとき、自分本位なその様子が同じ瞬間の相手の言動にどう影響しているかを考えません。この自分自身に不可視な自分の権力性・暴力性に気づき、人々とともに生きる作法はどうあるべきか、考えています。

卒業研究テーマ例

  • 愛における〈他者〉の役割ーライフストーリーインタビューの精神分析ー
  • 露出する無ーラカン派精神分析における無と享楽の間についてー
  • 人間は2度死なねばならないーラカン派精神分析における行為についてー
  • 真実へと燃える生ーA.リンギスと〈正義〉の命令ー
  • 報われないものとしての正義ーA.リンギスと〈他者との結合〉についてー
  • インタビューと E.レヴィナスの現象学ー「顔」としてのセクシャル・マイノリティー
  • 場と一体化する〈私〉ー現象学的考察ー
  • 権力と主体ーM.フーコーの『監獄の誕生』からー

教員紹介