
開催にあたって
2025年度の第31回「世界の教科書展」では、「エジプトの教科書」を特集します。日本においてエジプトの教科書を学ぶことには、いくつもの意義があります。教育的観点からは、日本政府と協力して導入が進む「日本式特別活動」(掃除・学級会・当番活動など)が注目されています。知識偏重からライフスキル重視へと転換する教育改革が、イスラム的価値観や共同体意識を重んじるエジプト社会にどのように根づいていくのか。また、日本の「個の尊重」との比較は、自国教育を見直す契機となるでしょう。
さらに、エジプト文明は世界史の礎をなす存在であり、その異なる文化圏を知ることは歴史理解の幅を広げます。教科書に描かれた挿絵や文章には、宗教観や家族観など文化の特徴が表れ、右から左に進むアラビア語の表記は異文化理解を深める教材としても魅力的です。
また、国際関係の視点からも、エジプトは中東とアフリカを結ぶ要の地であり、日本との交流拡大に向けた相互理解の基盤を築く上で重要な国です。イスラム文化と共に生きる社会を考えるうえで、今回の展示が皆さまにとって新たな発見と学びの場となることを願っています。どうぞごゆっくりご覧ください。
今回の教科書の翻訳パネルを作成するにあたり、就実大学心理学部内田直義先生にご協力いただきました。

