研究科長挨拶

「理論と実践の結合」を目指し、「教員と学生のコミュニケーション」を大切にします

 

文教大学教育学部は、私学における教員養成の伝統校として全国屈指の数多くの教員を育ててきました。大学院教育学研究科学校教育専攻修士課程は、2007年4月、この教育学部を基盤に創設され、はや19年の歴史を刻んできました。この19年の間に70名程の修了生を送り出し、その多くが、教員や研究者として現在活躍しています。

本専攻では、カリキュラムの中心に、学校教育に関する理論的研究及び実践的研究ができるように科目を設置しています。理論的研究として、学校教育学特論、教育社会学特論、教育心理学特論、学校経営学特論などの必修科目を配置しています。また、実践的研究を行うための科目として、必修科目の教育実践分析特論と選択科目の教育実践分析実習T・Uを配置しています。特に教育実践分析実習T・Uは、越谷市教育委員会との連携によって、学校でのさまざまな体験を通して実践力のある教師を目指します。

現在、GIGAスクール構想により、学校のICT環境が急速に整備され、授業にICTが活用されています。こうした情報教育に関する科目への対応はもとより、健康教育、国際理解教育、環境教育という現代的な課題に対応する科目も配置しています。もちろん教科教育学に関する科目も配置し、実践型教員養成の場を整えています。

ドイツの実存哲学者カール・ヤスパースは、『大学の理念』(1946)という著書の中で、大学における教育の基本形式として、「スコラ的教育」「マイスターによる教育」「ソクラテス的教育」を挙げていますが、その中でも大学における教育は、その本質上ソクラテス的教育であると述べています。彼は、大学では教師と学生の交わり(コミュニケーション)が重要な意義を持つと考えています。またヤスパースは、大学における授業の形式として、「講義」「演習」「ごく狭い範囲で行なわれる少人数での討論」「二人での討論」を挙げています。つまりヤスパースは、大学の授業でコミュニケーションや討論が重要であると考えています。

教育学研究科では、対話型の徹底した少人数教育を行い、教員と学生、学生同士のコミュニケーションを大切にします。研究指導は、研究指導教員と学生の対話によって行われます。是非みなさんが将来の目標を持って学校教育に関する理論と実践を学び、主体的に研究を深めることを期待します。

文教大学大学院教育学研究科長
豊 泉 清 浩