教育学部は2020年4月、心理教育課程を
「発達教育課程」に改組。
専門性に応じた4つの専修(特別支援教育専修、初等連携教育専修、児童心理教育専修、幼児心理教育専修)を設けます。
保育所・幼稚園・小学校・
中学校・高等学校・特別支援学校と、
子どもの学びをつなぎ、育ちを支える、
教育の専門家を育てる教育学部へと変わります。
教育学・保育学、心理学、特別支援教育学を基盤に、発達の連続性と多様性を理解し、乳幼児期から、児童期、青年期へと学びをつなぐことのできる先生をめざします。子どもの「心とからだ」の発達を支援する教育を実践するための知識と技能を習得します。「特別支援教育」、「幼児教育と小学校教育の接続」、「心理学を基にした『心の教育』」「乳幼児の教育・保育と子育て支援」について、4つの専修に分かれ、学びを積み上げます。
小学校 教員採用者数
中学校 教員採用者数
※出典:朝日新聞出版「大学ランキング2024」(分野:教員養成・小学校、中学校)
「学び続ける教師」
変化の激しい現代社会では、一生を通して「学び続けること」が必要であり、学校で学んだことを基礎にして、社会に出てからも常に新しい知識や技術を「自ら学び続ける」ことで身につけることが必要となります。このような「生涯学習社会」をよりよく生きていくために必要な「自ら学び続ける能力(=生きる力)」を、子どもたちに確実に身につけさせていくことが、現代の教育における最も重要な目的であり、そうした子どもたちの教育を担う教師にも、「情報化」や「国際化」に伴う社会の変化に柔軟に対応し、新たな教育内容や方法に関する知識や技能をリニューアルしていける資質・能力を持った、「学び続ける教師」であることが求められています。
特別支援学校とは
特別支援学校の先生は、障害のある幼児・児童・生徒が学習を進めたり生活したりするうえでの困難に対処し、生活上の自立や自身の力を最大限発揮できることが可能になるように支援を行っています。以前は、障害のある子どもたちのための学校は、盲学校、聾学校、養護学校と障害の種別によって区別されていました。しかし、障害の種別や有無に関わらず、地域・社会全体で子どもたちを育てるという考えを受け、2007年から「特別支援学校」として一本化されました。特別支援学校の先生には、基礎となる教員免許状(本学では小学校教員)をもとに、障害について深い知識を持ったうえで、さまざまな障害のある幼児・児童・生徒に対して、状況を把握したうえで対応していくことが求められています。特別支援学校の免許状を有する先生は、小学校等においても活躍しています。
人として育ちの基礎を培う
幼稚園の先生も保育所の先生も、ともに就学前の子どもを保育し、人間形成の基礎を培う大切な仕事です。幼稚園は「教育施設」で「環境を通じた保育による心身発達の助長」に目的があり、保育所は「児童福祉施設」で「保育を必要とする乳幼児の養護と教育」に目的があります。それぞれに特性を持ちますが、「生活や遊びを通じた育ちと学び」、「生きる力の基礎の育成」に共通の役割があります。子どもたち一人ひとりと信頼関係を築きながら、遊びや生活を通して、心と体のバランスのとれた発達の基礎をつくります。小学校での教育も視野に入れ、人との関わりの中で社会性を育てること、思考力や言葉や身体を使っての表現力を身につけさせること、豊かな感性や創造性を育むことが、幼稚園の先生や保育所の先生には求められています。
自ら課題を見つけ、自ら学び続ける
教育者を育成する特色ある学び。
アメリカ学校教育研修
「アメリカ学校教育研修」は、アメリカ合衆国・メリーランド州チャールズ郡教育委員会の協力を得て約2週間の研修を行います。参加学生は、現地の小・中学校で「日本の文化」を紹介する授業をしたり、メリーランド州立大学の学生との交流、現地の家庭でのホームステイなどを通して、アメリカ合衆国の学校教育制度をはじめ、社会・文化・家庭生活などについて幅広く体験します。この研修により、海外の教育制度や教育方法についての知見を深めつつ、日本の学校・教育文化のよさと課題とを発見し「グローバルな視野を持つ教員」の第一歩を踏み出します。
英国ウォーリック大学
応用言語学センター短期研修プログラム
「英国ウォーリック大学 応用言語学センター短期研修プログラム」は、イギリス・コヴェントリーのウォーリック大学で実施する約3週間の研修です。ウォーリック大学応用言語学センターが構築した英語教育プログラムを通して、指導法、教材開発法、第二言語習得理論などの英語指導者としての専門的知識・技能を学びます。また、ホームステイを含むキャンパス内外でのさまざまな国際交流を通して異文化理解力も培います。「高度英語指導者」をめざし、世界中の大学から集まってくる学生との研修です。
キャリア形成支援
以前、大学には「就職課」という部署があり、学生の就職活動を支援していました。今日、「就職課」を置く大学は少なくなり、多くの大学が「キャリア支援課」を置くようになりました。変化の激しい現代社会では、大学卒業時に希望の職業に就けたとしても、その後の人生が幸せとは限りません。社会に役立つ仕事をして、充実した人生を過ごすためには、「新しい知識や技能を学び続け、高度化する仕事をまっとうする力」が必要です。この力が「キャリア形成力」であり、その力の習得を支援することが「キャリア形成支援」です。
文教大学の教員・保育士養成では、皆さんに、「『良い先生』であり続けるためのキャリア形成力」を示しながら、皆さんがそれを能動的に習得していくことを支援していきます。もちろん、その力を備えた人は、結果として「採用試験合格」がついてきます。
豊富な学校体験
「先生をめざす学び」は大学で授業を受けるだけではありません。教育現場をお借りしての「学校体験」も重要な学びの機会です。学校体験には「教育現場を知る」「教育実践力を学ぶ」さらには「『めざす教員像』を描く」といった多様な学びがあります。そこで、文教大学ではさまざまな学校体験を用意しています。
卒業生の支援、卒業生との交流
文教大学の教員養成教育の歴史は50年以上です。この間、10,000人以上の卒業生を教育界に送り出してきました。各学校の教室で「日々、子どもの人生を支えている」方々、校長先生や教頭先生として「先生方の仕事を支え、理想の学校を創っている」方々、教育委員会などの行政機関で「教育界を支え、その発展のため奮闘している」方々、皆さまそれぞれに活躍なさっています。
そんな先輩達は後輩である皆さんのことも心配しています。就職後、誰もが、必ず、壁に突き当たります。そんな時、助けてくれる先輩が多数います。また、大学でも、卒業生と在学生との交友機会を創り、「良い先生」となるためのノウハウを、先輩から後輩へと伝承していただきます。
幼稚園の先生
2019.07.24
教育学部改組特設サイトを公開いたしました。
2019.08.30
教育学部発達教育課程の設置届出が文部科学省に受理されました。
2019.11.22
教育学部発達教育課程が申請中であった教職課程の課程認定を受けました。
2020.4.1
教育学部発達教育課程が設置になり、新しい教育学部がスタートしました。
2020.6.13
教員採用実績を更新しました。
●中学校教員採用者数【7年連続】私立大学 全国第1位!
●小学校教員採用者数【13年連続】私立大学 全国第1位!
2020.6.15
教育学部パンフレットを公開しました。
教育学部長 近藤 研至
我家の娘が小学校を卒業するその日に、担任の先生が子供たちに語りました。「皆さんは、大人になるってどういうことだと思う?」と。一人ひとりの子供たちはいろいろな答えをしました。その先生はにこにこ笑ってその答えを聞いていましたが、最後の答えを聞き終えて、「みんな一人ひとり意見が言えてすごいね。成長したね」と感想を述べた後、「大人になるっていうのはね、人のために時間と労力を使ってあげられるようになることだよ。みなさん、いい大人になってください」と締めました。この場面は何年経っても私の脳裏を離れません。
社会は絶えず変化してきましたし、これからも変化していくでしょう。しかし、たとえ変化しようとも変わらないことがあります。それは、社会はそれぞれの人が他者のために時間と労力を使うことによって支えられているということです。教育は、このことに大きく関わります。教育とは、長い時間と大きな手間をかけて、それぞれの人が他者のために時間と労力を使えるようになるように育てる営みなのです。そうして教育は人を育てることによって社会を育てる営みだと言えるのです。
文教大学の教育学部には、人や社会を育てる営みに関わろうとする、強い意志を抱いた仲間が溢れています。ぜひ、そうした仲間との4年間の交わりを通して、あなたの夢を実現してみませんか。ここでは必ず今の自分が確認でき、これからの自分を見つけられます。待っています。
幼児心理教育専修科目
乳幼児心理学 カウンセリング カウンセリング演習 子どもの理解と援助 発達援助論 子どもの保健 保育原理 子ども家庭福祉 保育者論 社会的養護Ⅰ・Ⅱ 乳児保育Ⅰ・Ⅱ 子どもの健康と安全 子ども家庭支援論 子ども家庭支援の心理学 保育の計画と評価 子どもの食と栄養 子育て支援 保育内容総論 保育内容各領域の概説(健康、人間関係、環境、言葉、表現A(音楽)、表現B(図画工作)) 保育内容各領域の指導法(健康、人間関係、環境、言葉、表現)
初等連携教育専修科目
乳幼児心理学 初等連携カリキュラム論 生活科・総合的学習教育論 幼小接続教育内容論A・B
幼児心理教育専修科目
乳幼児心理学 カウンセリング カウンセリング演習 子どもの理解と援助 発達援助論 子どもの保健 保育原理 子ども家庭福祉 保育者論 社会的養護Ⅰ・Ⅱ 乳児保育Ⅰ・Ⅱ 子どもの健康と安全 子ども家庭支援論 子ども家庭支援の心理学 保育の計画と評価 子どもの食と栄養 子育て支援 保育内容総論 保育内容各領域の概説(健康、人間関係、環境、言葉、表現A(音楽)、表現B(図画工作)) 保育内容各領域の指導法(健康、人間関係、環境、言葉、表現)
初等連携教育専修科目
乳幼児心理学 初等連携カリキュラム論 生活科・総合的学習教育論 幼小接続教育内容論A・B
児童心理教育専修科目
心理学概論 心理統計学 カウンセリング 乳幼児心理学 教育心理学基礎実験 学校心理学 社会心理学 家族心理学 カウンセリング演習 教育心理学研究法 子どもの理解と援助 心理療法 心理アセスメント実習Ⅰ・Ⅱ 臨床心理学 発達と学習の心理学Ⅰ(パーソナリティと社会性) 発達と学習の心理学Ⅱ(認知発達) 対人関係論
特別支援教育専修科目
障害児教育総論 知的障害児の発達と心理 知的障害児の生理・病理 病弱児の心理・生理・病理 知的障害児の行動理解 肢体不自由児の心理・生理・病理 発達障害・重複障害児教育総論 視覚障害児教育総論 知的障害児の指導 病弱児の指導 肢体不自由児の指導 聴覚障害児教育総論 障害児教育実地研究
全専修科目
国語専修 社会専修 数学専修 理科専修 音楽専修 美術専修 体育専修 家庭専修 英語専修
全専修科目
国語専修 社会専修 数学専修 理科専修 音楽専修 美術専修 体育専修 家庭専修 英語専修
全専修科目
国語専修 社会専修 数学専修 理科専修 音楽専修 美術専修 体育専修 家庭専修 英語専修
特別支援教育専修科目
障害児教育総論 知的障害児の発達と心理 知的障害児の生理・病理 病弱児の心理・生理・病理 知的障害児の行動理解 肢体不自由児の心理・生理・病理 発達障害・重複障害児教育総論 視覚障害児教育総論 知的障害児の指導 病弱児の指導 肢体不自由児の指導 聴覚障害児教育総論 障害児教育実地研究
特別支援教育専修科目
障害児教育総論 知的障害児の発達と心理 知的障害児の生理・病理 病弱児の心理・生理・病理 知的障害児の行動理解 肢体不自由児の心理・生理・病理 発達障害・重複障害児教育総論 視覚障害児教育総論 知的障害児の指導 病弱児の指導 肢体不自由児の指導 聴覚障害児教育総論 障害児教育実地研究
初等連携教育専修科目
乳幼児心理学 初等連携カリキュラム論 生活科・総合的学習教育論 幼小接続教育内容論A・B
児童心理教育専修科目
心理学概論 心理統計学 カウンセリング 乳幼児心理学 教育心理学基礎実験 学校心理学 社会心理学 家族心理学 カウンセリング演習 教育心理学研究法 子どもの理解と援助 心理療法 心理アセスメント実習Ⅰ・Ⅱ 臨床心理学 発達と学習の心理学Ⅰ(パーソナリティと社会性) 発達と学習の心理学Ⅱ(認知発達) 対人関係論
幼児心理教育専修科目
乳幼児心理学 カウンセリング カウンセリング演習 子どもの理解と援助 発達援助論 子どもの保健 保育原理 子ども家庭福祉 保育者論 社会的養護Ⅰ・Ⅱ 乳児保育Ⅰ・Ⅱ 子どもの健康と安全 子ども家庭支援論 子ども家庭支援の心理学 保育の計画と評価 子どもの食と栄養 子育て支援 保育内容総論 保育内容各領域の概説(健康、人間関係、環境、言葉、表現A(音楽)、表現B(図画工作)) 保育内容各領域の指導法(健康、人間関係、環境、言葉、表現)
国語専修科目
日本語学概論 日本文学概論 漢文学概論 書写Ⅰ・Ⅱ 日本語学演習Ⅰ・Ⅱ 日本文学演習Ⅰ~Ⅳ 日本文学史Ⅰ・Ⅱ 日本語学講義Ⅰ・Ⅱ 日本文学講読Ⅰ・Ⅱ 漢文学講読 漢文学演習Ⅰ・Ⅱ 書写・書道研究 教科教育法「国語」Ⅰ~Ⅳ
社会専修科目
日本史概説 日本史演習 世界史概説 外国史演習 地理学概説 地理学演習 政治学概説 経済学概説 倫理学概説 法律学概説 社会学概説 哲学概説 日本経済史 日本文化史 ヨーロッパ社会史 国際関係史 地誌学 人文地理学 地歴特別演習 教科教育法「社会・地歴」Ⅰ~Ⅳ
数学専修科目
線形代数学Ⅰ 線形代数学Ⅱ 線形代数特論 幾何学概論 初等幾何 変換幾何 幾何学演習 代数学概論 代数学演習 解析学概論 解析学演習 確率統計 確率統計特論 微分積分学Ⅰ 微分積分学Ⅱ 群論 ガロア理論 計算科学 複素解析 微分方程式 コンピュータ 教科教育法「数学」Ⅰ~Ⅳ
理科専修科目
物理学概論 物理学実験基礎 物理学実験A・B 物理学Ⅰ・Ⅱ 化学概論 化学実験基礎 化学実験A・B 化学Ⅰ~Ⅲ 生物学概論 生物学実験基礎 生物学実験A・B 生物学Ⅰ 地学概論 地学実験基礎 地学実験A・B 地学Ⅰ~Ⅲ 教科教育法「理科」Ⅰ~Ⅳ
音楽専修科目
ピアノⅠ~Ⅲ ピアノⅣ(伴奏法を含む) ピアノⅤ~Ⅵ ソルフェージュⅠ・Ⅱ アンサンブルスタディⅠ~Ⅳ 合唱Ⅰ・Ⅱ 声楽Ⅰ(日本の伝統的な歌唱を含む) 声楽Ⅱ~Ⅵ 作曲Ⅰ(編曲法を含む) 作曲Ⅱ 指揮法 和楽器演習(筝曲) 和楽器演習(三味線) 音楽理論 音楽史総合(日本の伝統・諸民族の音楽を含む) 西洋音楽史 教科教育法「音楽」Ⅰ~Ⅳ
美術専修科目
絵画Ⅰ・Ⅱ 絵画表現 彫刻Ⅰ・Ⅱ デザインⅠ・Ⅱ 工芸Ⅰ・Ⅱ 工芸表現 油彩画 版画 日本画 素描 塑造 彫造 陶芸 鋳造 環境造形 総合造形 造形材料と加工 デジタル表現 イラストレーション ペーパーエンジニアリング メディアデザイン クラフトデザイン 美術理論 色彩学 美術史 美術文化論 美術史演習 美術文化特別演習 教科教育法「美術」Ⅰ~Ⅳ
体育専修科目
体育運動学 体育原理 体育心理学 体育社会学 体育経営管理学 体育史 体育学研究法 運動生理学 運動生理学演習 衛生学・公衆衛生学 学校保健 ヘルスプロモーション 体つくり運動 器械運動 陸上競技 水泳 球技 球技A~D 武道 表現運動・ダンスA・B 冬季スポーツ 野外活動 教科教育法「保健体育」Ⅰ~Ⅳ
家庭専修科目
家庭経営学 家庭経済学 食物学 食物学実験 食品学 基礎調理実習 応用調理実習 栄養学 食生活論 被服学 被服学実験 基礎被服学実習 衣生活論 応用被服学実習 住居学(住居設計・製図を含む) 生活環境論 生活福祉論 家族関係学 保育学 家庭看護学 家庭電気・機械(情報処理を含む) 教科教育法「家庭」Ⅰ~Ⅳ
英語専修科目
Academic EnglishⅠ~Ⅳ Academic Reading A・B Academic Writing English for Specific Purposes A・B Grammar and Vocabulary 英語学概論 英語学演習Ⅰ・Ⅱ 英語文学概論 英語文学演習Ⅰ・Ⅱ 異文化理解概論 英語文化演習A 英語文化演習B 英語発音演習 教科教育法「英語」Ⅰ~Ⅳ
教職に関する主な科目と学び
教職に関する科目は、各学年において下記のような構成で進められます。
生きる力の育成
日本の教育の目的は、子どもたちの「人格の完成」をめざすことです。自ら学び、考え、さまざまな問題に取り組んで、それらを解決していくために必要となる「生きる力」(「確かな学力・豊かな心・健やかな体」)を育成し、変化の激しい現代社会の中で、次代を担う子どもたちが自らの生きる道を切りひらいていける力をつけさせます。
主体的・対話的で深い学び
「主体的・対話的で深い学び」は、子どもたちの学びをよりよいものにしていくための授業改善の視点です。「学習」には、自ら物事に関心をもって学びに向かう「主体性」が欠かせません。また、さまざまな人たちと「対話する」ことで、お互いの考え方に触れ、自らの考えを修正していくことも大切です。さらに、さまざまな知識や情報を相互に関連付けていく中で、子どもたちがより深く物事を理解したり、課題の解決に向けて思考を深めたりするなどの「深い学び」を行えるような授業が求められています。
教科横断的な学習
複雑な問題が存在する現代社会では、各教科を通じて習得したさまざまな知識を結びつけて活用し、問題解決を図っていく力が必要とされています。そこで、各学年や学校段階での教科の系統性(「縦の繋がり」)の学びにとどまらない、教科の枠を超えた「横の繋がり」を重視した「横断的な学習」が、総合的な学習の時間や、各教科の学習内容の関連性をふまえたカリキュラムを通して進められています。
英語教育の改革
2020年度から、小学校の「外国語活動」は3・4年生に移行し、5・6年生では週3コマ程度の授業時間で、「教科」としての「英語」が本格的に始まります。これに伴い、子どもたちは初歩的な英語の運用能力を身につけるなど、これまで中学校で求められていた英語のレベルを小学校段階から学習することになります。したがって、先生は異文化コミュニケーションの基本的な能力を身につけていく必要があります。
伝統文化の教育
グローバル化の進む中、異文化理解を深めると同時に、自分の住む地域や国の伝統文化、あるいは生活の中に存在する「自文化」を見つめなおすことなどを通して、自分自身のアイデンティティをより深く理解することが、国際社会に生きていくための重要な課題となっています。授業や学校行事などにおける「異文化」との交流や伝統文化の体験学習などを通して、日本固有の考え方や行動様式について考察します。
「道徳」の教科化と道徳的実践力の育成
「道徳」は小学校では2018年度、中学校では2019年度から、それぞれ必修の「教科」となりました。生命を大切にする心や他者を思いやる心、善悪の判断等の規範意識を自覚し、お互いの感じたことや意見を話し合うことなどを通して、自分たちの生き方についての考えを深めていき、家庭や地域など、社会の中で活用できる「道徳的実践力」を育成します。
ICTの活用と情報モラル教育の推進
学習内容をよりよく理解させ、子どもたちの学習意欲や学力を高めるために効果的なICT(情報通信技術の略称)の活用や、情報社会を生きていく上で身につけておくべき「情報」に対する正しい考え方や使い方、態度などを育む「情報モラル教育」が推進されています。パソコンやインターネット、電子黒板やタブレット端末などの授業への活用など、先生たちは常に新しい教育方法の研究・改善を行っています。
プログラミング教育
2020年から小学校では「プログラミング教育」が始まります。コンピュータやプログラミングの概念にもとづいた問題解決型の思考である「プログラミング的思考」を身につけ、日常生活で起こるさまざまな問題を、小さな単位に分解して順序立てて考え、取り組みやすくするなど、あらゆる問題解決に応用できる「考える力」の育成がめざされています。
「チームとしての学校」と地域との連携・協力
いじめや不登校、特別支援、貧困などといった子どもや家庭の多様な課題や、教員の多忙化などへの対応のために、これまで教員が担ってきたさまざまな仕事を、カウンセラー・専門事務職員・部活動指導員らと連携・分担していく体制を「チームとしての学校」と呼び、学校と地域が連携・協力して子どもたちを見守り、育てていくための取り組みとして注目されています。
キャリア教育
一人ひとりの社会的・職業的な自立に向けて、ルールやマナーを学び、他者と協力して問題を解決する能力等を養う「キャリア教育」が推進されています。人が「働く」ことの意味について考えたり、職場体験などを通じて、将来の自分の夢や就きたい仕事について主体的に学んだりするなど、児童・生徒の社会的役割獲得への意欲の形成に向けた指導が行われています。
いじめ、不登校への対応
現在、学校教育では、いじめや不登校などの生徒指導上の諸課題への対応が求められており、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実が進められています。教員には、幼児・児童・生徒1人ひとりの発達を理解した上で、それらの問題を未然に防止するとともに、問題が発生した場合には早期に対応できる力が求められています。
心の教育
少子化や核家族化、遊び場の減少、地域の人間関係の希薄化などから、子どもたちが友だちや地域の人とふれあう機会が減っています。そのため、人との深い関わりの中で得られる信頼感や社会性、思いやりの気持ち、社会のルールに対する意識を育てる「心の教育」が重要になります。今、学校教育では、道徳教育や心理学の知識や技能を基に「心の教育」を実践できる教育者が求められています。
特別支援教育コーディネーター
特別支援教育の背景には、「障害の有無に関わらず、すべての子どもたちを分け隔てなく教育する」という考えがあります。そのため、今まで以上に、地域の諸学校や関係機関、保護者との連携が求められています。この連携を調整したり、専門家としてサポート提供するのが特別支援教育コーディネーターです。地域・社会全体で障害のある子を育てるために、重要な役割を果たしています。
個別の指導計画
障害の診断名は同じでも、子どもの実態は一人ひとり異なります。そのため、特別支援学校における指導は、それぞれの子どもの実態を的確に把握し幼児・児童・生徒にあった目標を設定したうえで計画を立てて進めていくことになります。近年、障害の実態が複雑・多様化しています。そのため、個々のニーズとその背景に関して把握し、きめ細かな指導を行うことが求められています。
小1プロブレム
近年、小学校に入学した児童がうまく学校生活に適応できない現象が「小1プロブレム」として話題になっています。その背景には、遊びを中心とする幼稚園・保育所と、教科学習が中心となる小学校とのギャップが指摘されています。この問題を乗り越えるために「保幼小連携」が進められていますが、その前提として、小学校教育を理解した幼稚園教員・保育士、幼児教育・保育を理解した小学校教員の養成が強く求められています。
子育て支援
近年、少子化、核家族化、地域のつながりの希薄化などにより、地域で孤立し、子育てに不安を抱える保護者が増加しています。児童虐待の相談対応件数も急増しています。これからの保育士や幼稚園教員には、このような保護者の悩みに寄り添い、不安に共感しながら、適切な対応を行うことのできる子育て支援の力が求められています。
アメリカ学校教育研修
「アメリカ学校教育研修」は30年以上にわたり続いている海外教育研修のプログラムです。参加学生は、以下の3つの学修目標の達成をめざします。
英国ウォーリック大学 応用言語学センター短期研修プログラム
ウォーリック大学には世界的に著名な英語教育の研究者や実践者が多数在籍しています。これらの講師のもと、研修では、自分の英語力と英語指導の知識・技能を統合的に磨きます。さらに、ディスカッションを通じ、英語での思考力、判断力、表現力も培います。また、キャンパス内外での国際交流(例えば、スペインの現職教員との交流)や、小学校を訪問して日本文化をイギリスの児童に教える授業体験なども行います。この機会では、自分の異文化理解力はもちろんその教授法を学びます。加えて、グループワークによって自律性、協働性、省察性も培います。総じて、高度専門能力と人間力を持った英語指導者をめざします。
文教大学オリジナルのテキスト「教職への道」
50年におよぶ文教大学の教員養成教育とキャリア形成支援の「ノウハウ」が詰まったオリジナルのテキストです。教員採用試験対策だけではなく、「先生の仕事」の理解や、「先生に求められる素養」を深める内容も盛り込んだ、「『良い先生』になるための秘伝書」です。
教員採用試験対策合宿
3年生から4年生になる春休みに行います。志望する都道府県、校種でグループに分かれ、面接、集団討論、模擬授業などの練習をします。もちろん、これらのテクニックも身につけますが、一番の目的は「教師の使命感の醸成」です。「先生になって子どもにどのような成長をもたらしますか」「子どもへの教育を通し、社会に対してどのような貢献をしますか」といった質問に対する答えを、志を同じくする仲間と議論しながら、「高い使命感」を培います。
教員採用試験対策ゼミ
3年生の11月から、学部・学科を交えた少人数クラスで行います。「論作文ゼミ」と呼ばれ、その名のように、「『いじめ』の未然防止」「規範意識を育てる」「学力向上」といった教育課題について、皆さんの小論文に、各先生が厳しく赤ペンを入れていきます。しかし、このゼミの真の目的は「知の統合」です。皆さんが日々学んできた教育学の知識は山積する教育課題に向かうための「パーツ(parts)」です。このゼミを通じてそれらを統合し「教育課題を解決するための教育実践力」と高めていきます。
実技試験対策講座
教員採用試験では実技試験が課される校種・教科もあります。中学校・高等学校の各教科で行われる実技試験については専修の先生方が、小学校の体育実技と中学校・高等学校の英語科の実技試験についてはキャリア支援課が、対策支援をしています。ところで、実技試験では、単に「技能」だけではなく、「教員としての振るまい」も見られています。この講座はそれを身につける機会でもあります。
幼稚園教員/保育士対策
毎年、30~40名の卒業生が幼稚園や保育所の先生として就職します。小・中・高校の先生になる人に比べると人数は少ないですが、キャリア形成支援も就職支援も同じボリュームです。例えば、幼稚園の先生や保育士をしている先輩にお越しいただき、仕事のことやご自身が行っている自己研鑽のお話しを聞くことで、職業観や使命感を培います。「子どもが好き」という気持ちだけでは勤まらない仕事の厳しさを知り、「子どもの命をあずかっている」という使命感や責任感を高めていきます。
「先生の助手」体験プログラム
2年次に実施する自由参加の学校体験です。9月か2月、1週間、越谷市内の小学校で先生のお仕事のお手伝い(助手)をさせていただきます。この体験を通し、子どもの頃には見えなかった「先生の仕事」と「学校という職場」を先生目線で知ることになります。そして、「先生の仕事」の「大変さ」や「忙しさ」を知るとともに、真の「楽しさ」に気づきます。初めて、子どもから「先生!」と呼ばれた体験は、「ぜったい先生になる」というあなたの気持ちをより強いものとします。
「学校」での指導体験
足立区内の小学校と協力して実施する土曜スクールや放課後学校で、子どもたちに「あなたが計画した授業」をします。学校で行われる正式な授業ではありませんが、多くのことを学びます。もっとも、易しいことではありません。「授業をすることの難しさ」や、もしかしたら「力不足」を感じるかもしれません。しかし、しっかりと準備をし、一生懸命に授業をすれば、授業が下手であっても、子どもたちはあなたを「先生」として見てくれます。「先生」という仕事の厳しさと素晴らしさとを実感する機会です。
「学校ボランティア」派遣
文教大学に限らず、各大学には、近隣の学校から「学校ボランティアに来てください」という呼びかけが多数寄せられます。もっとも、知らない学校に一人で出向くことに気後れする人、「実際に何をやるのか、自分に何ができるのか」といった不安を抱く人も少なくありません。そこで、多くの学校から寄せられた依頼を集積して、希望者の得意や目的に合った学校を紹介するとともに、参加するための心構えや準備を指導し、皆さんの参加を後押しします。また、体験中に感じた悩みの相談、体験後の省察といった、体験学習を深めるための支援もしています。
「文教大学教育フォーラム」の開催
山積する教育課題の解決には先生同士の協力が必要なことは言うまでもありません。「全国各地で活躍する同窓生が集い、知識や経験を交わし、協力し合うことができれば、大きな力を発揮することができるのでは」という期待から、毎年「文教大学教育フォーラム」というイベントを開催しています。「フォーラム」の語源は「古代ローマの公共集会所」です。卒業生と在学生が集い、日ごろ抱えている課題の手がかりを見つけたり、不安を和らげたりする機会です。