遠藤 愛

専門領域
障害児・者心理学、応用行動分析学、臨床心理学
自己紹介
カウンセラーという職業の職務内容を勘違いして大学の心理学科に入学しましたが、よき師匠と仲間、支援やボランティアで訪れた現場の方々に恵まれて、臨床心理士・公認心理師としての仕事のすばらしさを知り、現在に至ります。とある映画で「人生とはチョコレートの箱のようなもの、空けてみないと中身はわからない」という台詞がありますが、本当にその通りと実感する毎日です。 趣味は映画鑑賞と図鑑鑑賞(特に元素図鑑に夢中)です。その他、発達障がいのあるお子さんに教えてもらった少しマニアックな趣味やお話に大興奮して日々楽しく過ごしています。元々面倒くさがりであまり自分から腰が上がらない人間ですが、クライアントや学生さんたち、現場の先生方に色々な命題や投げかけを頂くことで、多少なりとも「活動的」になることができていると思います。そのような事情もあり、研究スタイルは、臨床実践に基づく研究や現場の方々との協働研究が主です。
専門分野・研究のテーマ
・学校や福祉現場の職員に対するスタッフトレーニングやコンサルテーションなど、クライアントを支援する立場の人へのサポート(間接支援)
・発達障がいのある方を対象としたカウンセリングや療育指導
学生諸君へのメッセージ
学生時代は、様々な人との出会いがあり、色々な価値観や社会に触れることができる貴重な時間だと思います。ここで培った人脈や縁は、将来の皆さんの助けになり、思いもしない別の縁を呼んでくれるかもしれません(私自身がまさにそうでした)。強い意志をもちそれに邁進することも大事ですが、ぜひ「今体験できること」にも触れて、色々な人とのつながりを楽しんでください。
推薦図書
●東田直樹著『自閉症の僕が跳びはねる理由』角川文庫
自閉スペクトラム症を有する著者が中学生の頃に、自らの気持ちや障害について語ったエッセイです。「なぜ飛び跳ねるのか」「なぜ落ち着きがないのか」等、自閉スペクトラム症の人のよくある行動を、筆者の視点からとても繊細かつ細やかな表現で解説されています。
●かなしろにゃんこ。『漫画家ママの うちの子はADHD』こころライブラリー
発達障害の1つである注意欠如多動性障害(ADHD)の小学生・リュウ太君とその母である著者の日々の葛藤と成長をマンガでユーモアたっぷりに描いています。育児に悩む保護者の気持ちに触れることができる作品です。
●下山晴彦『東京大学の先生伝授 文系のためのめっちゃやさしい心理学』
これを読むと心理学の大筋がわかる!という大変ありがたい本です。私たちにとって身近な出来事を取りあげながら、心理学の基本的な知識・事象について、生徒と先生の対話形式で解説しています。
岡田 斉

専門領域
知覚心理学、認知心理学
自己紹介
生まれは大阪で19歳まで関西にいました。その後、仙台、新潟にそれぞれ10年くらい住み、越谷に来て7年がたちました。中学・高校のころはテレビをばらしたりアマチュア無線に没頭する「電気屋さん」でした。しかし、高校生の終わりごろ本屋でふと目にした催眠の本を買ったことがきっかけでフロイトのことを知って心理学にはまり、「理系」の生徒であったにもかかわらず無謀にも「文系」の心理学を学ぼうと方向転換し、何とか目的に近い大学に進学できました。しかし、心理学の専門課程に進むにあたって専門の先生の面接があったときに意気揚々と「精神分析を学びたいです」と言ったところ、鼻であしらわれて、複雑な気分になったものでした。その後、専門を学んでその意味がわかりました。心理学ではフロイトの言うような「深層心理」どころか、見たり聞いたりするというような疑いようがないと思われる心の働きすらよく解明されていないということでした。その当時の研究室では視知覚の研究が盛んだったのですが、私は皆とは反対に見えないものの研究をしたいと考え、聴知覚を研究テーマに選びました。最近では物理的には音源がないのに音が聞こえるイメージや空耳、幻聴といった現象に興味を持って研究しています。さらに、それに加えて「夢見」についても研究しています。夢の分析とか夢の意味といったことではなく、夢を見ているときの脳の働きや夢をよく見る人と見ない人はどのように違うのかついて興味があり、調査を中心とした研究を行っています。車好きです。勢いで屋根の開く車を買ってしまったので、真冬でも全開で走るように心がけています。漫画も好きです。座右の本は「ぼのぼの」です。
専門分野・研究のテーマ
1.聴知覚、聴覚的イメージ、空耳・幻聴についての実験的研究
2.夢見の認知心理学的研究 夢見の形式的特徴に関する調査研究
学生諸君へのメッセージ
1.「君の行動がどういうふうに変わっていくのか、私にはわからいね。」
「人にできることというのは本当に驚くべきものがあります。人は自分が何ができるかを知らないだけなのです。」ミルトンエリクソン。
2.越谷キャンパスには四季折々に食べられる果物がたくさんあります。ぜひ探して味わってみてください。
推薦図書
●ジョージ・A・ミラー著『心理学の認識 ミラーの心理学入門』白揚社
残念ながら絶版で、しかも1967年の翻訳の本で大変古いのですが、心理学の基礎をとてもわかりやすく学べる教科書です。
●いがらしみきお著『ぼのぼの』竹書房
漫画です。しかし、臨床心理学を勉強すればするほどその深さを考えさせられます。私の座右の本です。特に1995年の11巻が特にお薦めです。
●ポール・ワツラウィック著『希望の心理学 そのパラドキシカルアプローチ』法政大学出版局
臨床心理学にはこういう発想もあるのです。薄い本で一見簡単そうですが、その真意を知るためには、かなりの頭の体操が必要になるでしょう。
鍛冶 美幸

専門領域
臨床心理学
自己紹介
子どもの頃から音楽や踊り、絵画、文学に興味を持ち、空想の世界にふけることが好きでした。そのせいか、学生時代は芸術系の趣味に熱中し、あまり勤勉な学生ではありませんでした。そんな私が臨床の道に入り、とにかくここまで歩み続けてこられたのは、いくつものかけがえのない出会いのおかげです。初めの出会いは大学四年の時でした。将来に向けて明確な目標もないまま、卒論のテーマ探しに訪ねたフリースクールでの生徒たちとの出会いに強く心動かされたのです。思春期臨床に関心をもった私は精神病院に就職し、人格障害や精神病を病む方たちを対象にした臨床に取り組むことになりました。またその病院で、ダンスセラピーという新しい治療技法にも出会いました。心病む方たちが即興的な踊りや身振りを通じて豊かな内面を表現する姿は、とても美しいものでした。この療法に魅せられた私は、実践と研究を深めるため遅まきながら大学院に進学することにしました。 その後は、学びと研究を続けながら医療現場やスクールカウンセリング、学生相談やカウンセリング専門機関での臨床実践に携わってきました。やがて経験を重ね、もう一歩研究力と実践力を高めたいと思い始めた時に、またもや転機となる恩師との出会いがありました。こうして出会いに導かれ再び大学院で学び、研究員としての勤務を経て、この度文教大学でお世話になることになりました。 この先にはどんな出会いがあるのでしょうか。今から楽しみでなりません。
専門分野・研究のテーマ
心理療法における身体性について研究しています。臨床では、医療・教育領域での思春期・青年期臨床。スクールカウンセリングでの認知行動療法。成人を対象とした力動的心理療法。ダンス/ムーブメント・セラピーを中心とした身体的アプローチ。集団精神療法。
学生諸君へのメッセージ
素敵だと感じたもの、面白いと思ったことを大切にしてください。そしてそれを追いかけてください。その先にはきっとあなただけの景色が見えてくるはずです。 謙虚に、でも貪欲に学び、楽しんでください。そして悩むことにたくさん時間を使ってください。心も身体も、動かし鍛えるほどに、強く豊かになっていくはずです。
推薦図書
●レベッカ・ブラウン著/柴田元幸訳『体の贈り物』新潮文庫
重病に侵された人たちの生活を支えるホームケア・ワーカーを主人公にした短編集です。食事や排せつの手助けを通した触れ合いが、身体に宿る命の重みを浮き彫りにしていきます。短いエピソードの一つ一つが美しく、人と人が寄り添って生きることの大切さを教えてくれる一冊です。
●カズオ・イシグロ著/土屋政雄訳『わたしを離さないで』ハヤカワepi文庫
近未来を舞台に、ある特別な使命を負って生まれた青年たちの運命を描くSF小説です。非現実的な世界を描きながら、「差別」「格差」「生命倫理」等について、今を生きる私たちに人間存在の根源をめぐるリアルな問いを投げかけています。
●梨木香歩著『裏庭』新潮文庫
不思議な洋館に迷い込んだ少女の冒険譚です。ファンタジー小説ではありますが、冒険を通して成長するプロセスは、驚くほど心理療法に似ています。主人公と一緒に異界を旅しながら、気がつけば自分の心の内側を見つめていることでしょう。臨床心理学者河合隼雄先生の解説も必読です。
幸田 達郎

専門領域
臨床心理学、社会心理学、経営学
自己紹介
高校・大学と、ひたすらぼんやり過ごしてしまい、就職活動の時期になってとても慌てました。自分はいったい何をしたらいいのだろう?自分にはいったい何ができるのだろう?
押し流されるように大量採用の総合電器メーカーに就職。でも、疑問ばかりでした。なんでこの人はこう動くのだろう?なんであの人のいうことはみんな聞くのに、こっちの人のいうことはいつも無視されるのだろう?
疑問を解決したくなって、生まれて始めて勉強しようと思いました。会社を辞めて大学院に入りました。一生懸命、経営学を勉強しました。いくつもの謎が解けた気がしました。謎が解けた気がしたら、今度は習ったことを自分で使ってみたくなりました。
今度は放送局で一生懸命働きました。仕事が面白いまま、あっという間に15年が経ちました。その間、あれっ?と思うことが何度もありました。これまで習ってきたことだけでは分からないことがたくさんありました。角度を変えて”人間”について勉強したくなりました。働きながら、心理学に分野を変えて、大学院で勉強しました。習ったことを色々な会社に応用して社会の役に立ちたいと思いました。組織・人事のコンサルタントになりました。夢中で働いてきました。まだまだ解決しないことだらけです。
専門分野・研究のテーマ
・組織の中の人間行動
・組織風土とリーダーシップ
・仕事と能力
・キャリア発達
・産業カウンセリング
そんな分野の周辺に関心があります。
学生諸君へのメッセージ
私自身、学生時代から、将来何をしたいのかについて迷い続けてきました。たくさんの回り道をしました。その時々、その最中には、まったく無駄に見えたことばかりでした。でも、無駄に見えたことでも一生懸命やってきたことのほとんどは、ずっとずっと後になって役に立ってきました。 “今”が無駄に見えたとしても、それは少しずつ少しずつ自分の将来を形づくる原材料として蓄積されています。どんな経験でも将来の自分の基になっていきます。皆さん自身と同じような経験をしている人は、他にもたくさんいるかも知れません。でも、経験に意味をつけるのは自分自身なのです。私自身の反省を込めて、皆さんには大学時代を意味のある4年間にしてもらいたいと思います。そのためにも、できれば何かを一生懸命やってもらいたいと思います。一緒に勉強しませんか?
推薦図書
“組織と人”について、歴史的な経緯や、あまり華々しいスポットライトが当っていない人の立場から考えさせられるような本や映画を選んでみました。
●司馬遼太郎著『坂の上の雲』文藝春秋
わたしたちが生きている現代日本て何だろう? 人はなにを目指して生きるのだろう? そういった疑問に答える原点のようなものがこの本の中にあると思います。長い本なのでしり込みしてしまう方もいるかも知れませんがとても面白い本だと思いました。私は、みなさんより少し若いときに夢中で読んで、いろいろと考えさせられました。
●戸部 良一、寺本 義也、鎌田 伸一、杉之尾 孝生、村井 友秀、野中 郁次郎著『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』中央公論社
太平洋戦争についての本です。でも、かっこいい戦車や戦闘機の話ではありません。読みにくくて難しい本かも知れません。誰も悪い結果になることを望んでいないのに、結果が悪い方向に向かってしまうことってありますよね。集団とか組織で、いつでも物事が正しく決められるとは限りませんよね。組織の逆機能を冷徹に分析した本です。集団・組織について真剣に考えようと思っている人には、集団というものが間違った決定を下してしまうことの実例を分析した本として興味深く読めるのではないでしょうか?
●城山三郎著『落日燃ゆ』新潮社
戦争をくい止めようと必死で取り組んでいたとされる広田弘毅の伝記小説です。この人は、A級戦犯として絞首刑になってしまいました。組織に対して個人は一体、何をどこまで出来るのか?組織と個人はどう向き合うべきなのか?そんなことを考えさせられる本だと思います。自分の人生を悔いなく生きるには、どうしたらよいのか?そういうことも考えさせられます。
小柴 孝子

専門領域
臨床心理学、学校教育臨床
自己紹介
新潟県新潟市生まれ。大学から憧れの東京に進出し、現在は埼玉県在住です。
学部の学生時代は教育学部で書道を専攻し、毎日大量の墨にまみれて芸術活動をする一方、アルバイトにも精を出していました。卒業後、社会人として様々な人との繋がりが広がっていく中で「人間」に興味を持つようになり、大学院に入り直し臨床心理学(教育学研究科 学校教育臨床)を学びました。臨床心理士の資格を取得した後、スクールカウンセラーとして学校現場で先生方と一緒に不登校やいじめの問題に取り組み、2011年の東日本大震災後は、仙台の女子大学で学生相談を通して、東北の女子大学生の心の復興と成長に向き合いました。直近では、ハラスメントの専門相談員として、主に「セクシュアル・ハラスメント」への対応と正しい理解の啓発に力を注いできました。日々、臨床心理士・公認心理師として新しい分野へチャレンジすることで、「人間」をより深く知ることが面白く、自分の臨床実践家としての幅が広がっていくことを実感しています。
専門分野・研究のテーマ
学校や教育現場での「教育相談」「特別支援(主として発達障害)」が専門分野で、特に「不登校」「いじめ」「虐待」について興味があり、どの問題も子どもの「アタッチメント」との関連について研究しています。
学生諸君へのメッセージ
ある一流芸能人が『「知」は一生減らない財産!』と言っていました。私もその通りだと思い、おもわず手を叩いたのですが、「知」には「知識」だけではなく「自分を知り他人を知る事」という意味があると私は思っています。皆さんが「臨床の知恵」を学び、しっかり自分と向き合って成長できるようサポートできれば幸いです。
推薦図書
●土居健郎著『方法としての面接 -臨床家のためにー』医学書院
1971年に「甘えの構造」を著し、日本人の健全な「甘え」について説いてくれた精神科医である著者が面接(診察またはカウンセリング)の基本について、丁寧に教えてくれます。私もカウンセラーとして初心の頃、この本を心の拠りどころとしてクライエントさんと向き合っていました。将来、臨床家を目指す方にお勧めの一冊です。
●佐々木正美著『はじまりは愛着から -人を信じ、自分を信じる子どもに-』副音館書店
児童精神科医である著者が、長年の臨床経験と母子への優しいまなざしから「子育てが人間関係を作っていく」と語り、人の発達に何が一番大事なのか分かりやすく指南してくれます。発達臨床心理学に興味を持っている方にお勧めですし、自分の育ちを振り返り自己理解を深めることのきっかけにもなりますので、是非ご一読を。
●稲垣栄洋著『はずれ者が進化を作る -生き物をめぐる個性の秘密-』筑摩書房
農学博士で雑草や昆虫の研究をしている著者が、生き物の「遺伝子の多様性」やたった一つの個性について分かりやすく解説してくれます。つまり、生き物はどれも「オンリー1であり、ナンバー1」なのです。人間は比べたり境界を作ったりしますが、このような生物の自然な生き方に学ぶところはとても多いのではないでしょうか。
須藤 明

専門領域
犯罪心理学、家族心理学
自己紹介
出身は栃木県佐野市ですが、猿や鹿が時々出没する山間部に実家はあります。
学生時代は社会心理学を専攻していましたが、勤勉な学生とは程遠い生活でした。ただし、部活動(少林寺拳法)は一生懸命取り組み、それを通じた仲間との縁は現在も続いており、私の貴重な財産となっています。
大学を卒業するに際して、非行少年の更生にかかわりたいと思い、家庭裁判所調査官補採用試験を受けたところ運よく合格し、2年間の研修生活を経て任官しました。研修生時代は、土居健郎先生、小此木啓吾先生、河合隼雄先生に加え、留学から戻られた皆川邦直先生といった豪華な講師陣に恵まれ、精神分析の影響を強く受けました。また、鈴木浩二先生の講義を通じ、家族システム論を知ったのもこの時期です。
家庭裁判所調査官として過ごした26年間のうち、3年間ほど研修所の教官で現場を離れたましたが、多くの少年非行や家族問題(離婚、面会交流等)のアセスメントと支援に携わってきました。その間に培った様々な経験が私の臨床を支えています。
2010年4月から大学教員に転じ、2022年4月、文教大学に赴任しました。スクールカウンセラーのスーパーバイザーとして週1回ある自治体の教育相談室に出向き、各種教育相談にも応じています。
専門分野・研究のテーマ
犯罪心理鑑定(情状鑑定)
判決前調査制度の国際比較
ナラティブ・アプローチ
学生諸君へのメッセージ
臨床心理学関連の専門書を読むことは、先人の知恵に学ぶことにほかなりませんが、それだけでは表面的な理解にとどまってしまいます。自分自身の臨床経験を通じて、かつて読んだ専門書に向き合うといった相互作用の中で、いくつかの概念は息づき、本物になっていきます。皆さんがどのようなオリエンテーションをもつにしても、学びの本質は変わりません。臨床家としての旅立ちのお手伝いができればと思っています。
推薦図書
●神田橋條治著『精神科診断面接のコツ』岩崎学術出版社
土居先生の『方法としての面接』と並んで影響を受けた本。「なぜ」という問いを使わずに対話できると面接が上手くなる、という一文には頭を殴られたような衝撃を感じ、以来、「なぜ」を禁句とした面接を心掛けてきました。対話精神療法のエッセンスが詰め込まれています。
●ジーン・M・トウェンギ、W・キース・キャンベル著『自己愛過剰社会』河出書房新社
自己心理学の創始者ハインツ・コフートが、自己愛は克服するものではなく、自己愛の健全な発達ラインが別途存在するとフロイトの自己愛論に異を唱えたことは有名です。本書は、アメリカ社会全体がいかにナルシシズム文化に変容していったのかを明らかにしたもので、一般書でありながらも、自己愛の複雑さや課題を改めて考えさせてくれます。
●石川達三著『僕たちの失敗』新潮文庫
昭和36年の5月から11月にかけて読売新聞に連載された小説です。一時期、石川達三の小説にのめりこんだ時期があり、その一つが「僕たちの失敗」になります。ある若い男女が3年契約で結婚し、結局は破綻する物語ですが、結婚とは何か、男女の思考・感情の行き違いなどを考えさせられました。60年前の作品ですから、現在の視点から様々評価ができると思います。
髙尾 浩幸

専門領域
臨床心理学、ユング心理学、精神分析、精神医学
自己紹介
多感な学生時代を雪深い北陸で過ごしました。受験勉強がきっかけで読み始めた小林秀雄に感激し、大学時代、森有正とともに愛読。医学部を卒業し、精神医学を選んだのには、「人間をものとしてでなく、身体とこころを兼ね備えた存在として理解したい」という動機があったからです。そこで、精神病理学の伝統のある東京医科歯科大学神経精神医学教室に入局しました。東京医科歯科大学医学博士。医科歯科大での研修に刺激を受け、ユング派の精神分析に強く惹きつけられ、のちに心理療法をさらに深めるため、チューリッヒ・ユング研究所に留学。4年間にわたる専門的トレーニングを受け、ユング派分析家の資格(Diploma)を授与されました。帰国後は、精神病院で臨床の仕事をしていましたが、文教大学臨床心理学科に移り、ユング心理学の教育・研究を続けています。所属学会は、IAAP(International Association for Analytical Psychology)、日本心理臨床学会、日本ユング心理学会、日本箱庭療法学会、日本家族研究・家族療法学会など、です。私自身、ものを覚えることがあまり得意でなく(皆さんの名前を忘れたら、ごめんなさい)、組み立てて考えるほうが好きなので、刺激的なディスカッションを楽しみにしています。絵を見るのが好きで、意外にテニスも少しやります。
専門分野・研究のテーマ
専門は、ユング派分析、ユング心理学です。人間の魂が神話、昔話、物語などの言語表現、そして箱庭、コラージュ、夢、絵画などの非言語的な表象のなかに象徴として現れてくる「こころの創造的機能」の証人として厳かに立ち会い、また分析する研究を通して、迷路のようなこころの不思議を解き明かしていきたいと願います。
学生諸君へのメッセージ
夢を見よう。夢のために働こう。すると、喜びも悲しみも含めた人生が開かれます。道はそこにあります。大学時代は、夢を見る能力を共に高めましょう。
推薦図書
●河合隼雄著『こころの処方箋』新潮社
日本における代表的な臨床心理学者。河合先生の語りは、常識の枠を超えながらも、「そう言えばそうだなあ」と妙に納得してしまう。世間で窮屈な思いをしている方は、臨床心理学的発想で癒されます。
●山田ズーニー著『あなたの話は、なぜ「通じない」のか』筑摩書房
人と話が通じなくて困った経験はだれでもあるはず。コミュニケーションのゴールを「自分の内面に基づく、相手とのつながり」においた筆者のサジェスチョンは具体的で実践向き。臨床心理学科教育での「実践的コミュニケーション能力の向上」に通じる発想です。
●中村雄二郎著『臨床の知とは何か』岩波書店
臨床心理学には固有の「知」があります。点数、偏差値から実績評価まで、世の中は「数字」中心主義。でも、数字で割り切れないところに人間の価値があります。簡単には数値化、一般化することのできない、個別・固有の人間の真実に向き合うことから「臨床の知」が生まれます。ちょっと難しいけど、大学での学びの予習のつもりでチャレンジ。
名尾 典子

専門領域
乳幼児期から青年期の臨床心理学、障害児・者の発達支援、家族への援助、ファンタジーグループ
自己紹介
北海道生まれの埼玉育ち。上智大学大学院在学中より、子どもの心理臨床に関する現場との出会いが多くあり、自然に子どもの心理臨床へ深く関わっていくことになりました。教育相談所、児童相談所、小児科や精神科の病院、保健所、保育園、小学校、障害者施設などの現場に非常勤で勤務し、様々な問題を持つ子どもや家族への心理的援助、及び異業種の専門職の方々へのコンサルテーションを行ってきています。また、保育者の養成の仕事にも縁があり、保育者養成の専門学校の兼任講師を経て、保育者・小学校教諭を養成する短大に専任で5年間勤務し、学生の教育の傍ら、学生相談も担当してきました。縁あって、今年から文教大学に勤務することになりました。今までの経験を学生さんに伝えつつ、一緒に学んでいきたいと思っています。 趣味は、音楽鑑賞、サッカー観戦、旅行。現在子育て中で、家庭生活の中心は専ら子どもとの関わりなので、今まで自分が臨床の場でしてきたことが役に立っていたのか?日々検証中です。
推薦図書
●ル=グウィン著『ゲド戦記1 影との戦い』 岩波書店
全6巻シリーズの第1巻。ジブリによるアニメ映画化で一躍有名になりましたが、見た人も見ていない人にもぜひお勧めの1冊です。不思議な力を持つ少年ゲドは、魔法使いになるための修行をするが、禁じられた呪文を唱え、影を呼び出してしまうというストーリーです。ゲドが影との戦いを通じて成長していく姿は、私たちが生きていく上での心の糧になることでしょう。その後の大賢人ゲドが活躍する第2巻以降もお勧めです。
●村上春樹著『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』 新潮文庫
高い壁に囲まれ、外界との接触がない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語〔世界の終り〕と、老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。二つの世界の物語が同時進行します。物語の世界に引き込まれながら、自分自身について、また、生きるということについて深く考えさせられることでしょう。
小泉吉宏著『ブッタとシッタカブッタ』(シリーズ) メディアファクトリー
悩めるブタ、シッタカブッタに導かれて、人生について学ぶ本。漫画ですが、悩んでいるとき、疲れたときに読むと、心が軽くなります。そして、自分自身の幸福や不幸、悩みの正体を知ることでしょう。
布柴 靖枝

専門領域
臨床心理学、家族心理学、家族療法、スーパービジョン学
自己紹介
福岡県生まれ。幼い頃は、路地裏や古い家が大好きで、そこに暮らしてきた人の気持ちや暮らしを想像しながら遊ぶことが大好きな変わった子どもでした。学生時代は、京都で学生ガイドとして神社仏閣巡りを堪能しつつ、遊戯療法や精神分析的アプローチを学ぶ機会を得ました。卒業後8年間、神戸市で多問題家族の援助に関わってきました。その中で、家族を支援することの重要性を痛感し、家族療法を学ぶようになりました。その後、渡米し、大学院を修了し、家族療法の本格的なトレーニングを受ける機会を得、5年弱のアメリカ生活を経て帰国しました。その後、仙台の大学で教鞭をとりつつ、産業、医療、教育、福祉、私設心理相談分野でカウンセリングやコンサルテーションに従事してきました。また、博士後期課程に編入学し、家族の統合的心理療法や、スーパービジョンの実践研究に取り組み、学位(博士)を取得しました。今まで、様々な場や領域で人の心に携わる仕事をしてきました。臨床が何より好きで、私にとっての最大の師は、今まで出会った多くのクライエントの方々であり、学生達です。ラージャーシステムの活動として国連の諮問機関であるNGOでの活動もしています。臨床心理士・家族心理士・上級教育カウンセラー・社会福祉士の資格を持っています。
専門分野・研究のテーマ
家族心理学・統合的家族療法・多世代的視点から症状の意味・家族神話(世代を超えた家族の物語)研究・スーパービジョン学・学生支援プログラム・ハラスメント相談対応の実践的研究
学生諸君へのメッセージ
気の合う友人とだけ付き合うのではなく、「むむっ!?」と思う友人との出会いこそ大切にして下さい。「異(い)なるもの」との出会いは、時に混乱をもたらすこともありますが、新たな自分を知り、自己を確立することに役立ちます。多様な人たちと出会えるのも学生時代に味わえる醍醐味です。皆さんとの出会いを楽しみにしています。
推薦図書
●河合隼雄著『カウンセリングの実際問題』誠信書房
カウンセリングの初学者からベテランまで、どのレベルで、いつ読んでも毎回新たな発見ができる良書です。将来、臨床心理士などのこころの援助に関わりたいと思っている人には座右の銘として是非とも読んでおいてほしい本です。カウンセリングでは実際どのような視点で、何を重視して行われるのか学ぶことができます。
●柏木惠子・平木典子編著『日本の夫婦―パートナーとやっていく幸せと葛藤』金子書房
「結婚=幸せ」というのは今や幻想になりつつあります。幸せな家庭を築いていくためには、夫婦・カップル関係を真剣に考えて築きあげる必要があります。子どもの健やかな成長も夫婦・カップル関係が大きく影響を与えます。本書は、家族心理学を専門とし、夫婦・カップル・家族の心の支援をしてきた専門家によって書かれています。夫婦・カップル関係の諸問題を取り上げ、幸せな家庭を築くためのヒントをくれる良書です。
●モリス・バーマン著 柴田元幸訳『デカルトからベイトソンへ―世界の再魔術化』国文社
哲学者デカルトから、文化人類学者で家族療法の発展に大きな貢献をしたベイトソンに至るまでの、哲学・文化人類学、そして心理学がいかに影響しあい発展してきたか、その歴史を包括的に理解したい人にお勧めの本です。難解で、手に入れにくい本ですが、チャレンジ精神のある人は是非とも読んでみてください。一人で読破することが難しい時は仲間と一緒に読むことをお勧めします。
三浦 文子

専門領域
臨床心理学、人間性心理学
自己紹介
東京下町生まれ、福岡育ちです。もともと太りやすい体質のため、学生時代の通学は片道約7㎞を自転車で往復しておりました。まったく痩せませんでしたが、自転車通学の効果か丈夫な身体に育ちました。大学院の後は、愛知県の女子大学で勤務し、ご縁があって2017年より文教大学にて勤務させていただくことになりました。実家が川沿いだったこともあり、文教大学越谷校舎からのリバーサイドの眺めがとても気に入りました。 何でもすぐに笑ってしまい、その笑い声が大きいからか学生時代は「笑い袋」と呼ばれていました。趣味はF1観戦で2006年以来毎年鈴鹿サーキット(もしくは富士スピードウェイ)に足を運んでおります。いつかモナコで観戦したいです。もちろん運転も好きです。
専門分野・研究のテーマ
ひきこもり者・若年無業者への支援と研究、青年期の職業決定への支援と研究、エンカウンター・グループをはじめとしたグループ臨床など。質的研究法にも関心があります。
学生諸君へのメッセージ
「あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね」(『ドラえもん』結婚前夜のしずかちゃんのパパの発言より)。”あの青年”とは大人になったのび太くんのことですが、臨床心理学でいうところの共感的理解、すなわち共感する能力が高いということだと思います。共感力が高い人は人間として魅力的だと思います。心理学を学び、体験することで共感力は高めることもできます。心理学を学んでともに”より”魅力的な人間に成長していきましょう!
推薦図書
●ヴィクトール・E・フランクル著『夜と霧』みすず書房
著者の強制収容所への収容から解放までの約半年間の実体験が書かれています。どんなに絶望的な状態にあっても、人生を意味あるものにできると思える本です。読むだけで不思議と生きる力が湧いてきます。初学者は新版(池田香代子訳)がおすすめです。
●竹内敏晴著『声が生まれる―聞く力・話す力』中公新書
どうして声は聞こえているのに心に届かないということが起こるのでしょうか。生後すぐに難聴になり、16歳で右耳の聴力を獲得してからも言語習得に苦労した演出家である著者からのメッセージは、本を通しても力強く心に届きます。ことばを交わすということを改めて考えることができると思います。
●エーリッヒ・フロム著『愛するということ』紀伊國屋書店
愛は技術である、という冒頭部分から衝撃を受けるかもしれません。愛されるために一生懸命に努力をしている方、愛せないと嘆いている方など愛について悩むすべての人にぜひ読んでもらいたい1冊です。自分の成熟度についても気づくきっかけになると思います。
水野 康弘

専門領域
臨床心理学、病院臨床、心理アセスメント
自己紹介
高校卒業まで愛知県の田んぼに囲まれた風景の中で走り回って育ち、大学進学を機に関東でひとり暮らしを始めました。当初は都会生活に緊張して固まってしまい、アパートへ次々と訪れる新聞勧誘を断ることができずに2紙同時に契約してしまった程でした…。その後も不慣れな環境やピンチに遭遇する度に固まっていました。しかし、仲間・恩師・上司・先輩に支えられ育てられて乗り越えることで、少しずつしなやかになっていったように思います(今は、新聞勧誘も断れます)。
臨床面では、大学4年時の精神科実習に魅せられて以来、修士課程を経て、精神科病院・精神科クリニック・大学病院などでずっと病院臨床の実務家として、様々なクライエントの心理支援に従事してきました。特に臨床心理検査を中心とした心理アセスメントを大切にし、見立てをクライエント個々のテーラーメイドの心理支援に活かしていくことができるよう、訓練と実践を重ねてきました。根っこは実務家ですが、臨床実践の中で湧き上がる素朴な疑問を端緒とした研究や専門職養成教育にもコツコツと取り組んできました。趣味は、ウォーキング(腰痛対策)と飼い犬達の肉球をさわることです。
専門分野・研究のテーマ
①臨床心理検査―特にロールシャッハテスト・風景構成法などの投映法および検査バッテリー、②自殺のリスク評価と自殺予防および危機介入、③気分障害・統合失調症・がん患者の心理支援の実践と効果検証
学生諸君へのメッセージ
私の座右の銘は(「ピンチはチャンス」ではなく)「ピンチは後にチャンスになる」です。人はピンチの渦中では、それをしのぐことに精一杯ですから、現在進行形で「これはチャンスだ」と捉えることは難しいと思います。でも、ピンチを何とかしのいだ後で振り返れば、「あの経験は今後につながるだろう」「次のピンチもどうにかできるかもしれない」と思えることは少なくなく、実際にそれは自分の力となっているはずです。ピンチ、悩み、揺らぎはしんどいものですが、「後にチャンスになる」と見立てつつ、まずは味わいしのいでみるのもひとつでしょう。しなやかな力は後で備わります。ただし、ひとり抱え込んでの孤軍奮闘はつらすぎます。苦行ばかりで無理しては身がもちません。人とつながること、周りの支えや力を活用すること、楽しいことやホッと脱力できることを味わうこともお忘れなく。
皆さんと一緒に、時間・学び・体験を積み上げていけることを楽しみにしています。
推薦図書
●村瀬嘉代子著『小さな贈り物 傷ついたこころにより添って』創元社
「人を理解してより添う」という営みに不可欠な姿勢が、分かりやすく深みのある言葉で綴られています。様々な臨床心理学理論や技法を問わず、また心理支援の場だけでなく日々の人との関りにも通底するものについて触れることができるでしょう。
●帚木蓬生著『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』朝日新聞出版
困り事は早く解決できるとよいですが、簡単には答えを見出せないことも少なくありません。その時の支えとなり,問題のより深い理解と解決に繋がる力となるものがネガティブ・ケイパビリティです。それを知ると、少し日々が生きやすくなるかもしれません。
●三浦しをん著『舟を編む』光文社
出版社の辞書編集部に配属された主人公が、編集部のメンバーと共に長い歳月をかけて辞書編集に奮闘する様を描いた小説です。読みやすい小説ですが、私たちが日ごろから当たり前のように使っている〝言葉?のもつ力と意義について改めて考えさせられます。
谷島 弘仁

専門領域
学校心理学、コミュニティ心理学
自己紹介
大学院で教授学習過程を専攻しようと思い、入った研究室に発達相談室が設置されていたため、学習障害や自閉症の子どもと遊んだり勉強の相手をしたりすることになりました。親との面接では年下の大学院生であるためか相手にされず、途方に暮れたこともありました。当時、カウンセリングの知識をほとんど持っていなかったので、まさに実践から飛び込んだわけです。その後、大学に勤めながらスクールカウンセラーを6年ほど兼任し、やっとカウンセリングがわかってきたかなと思えるようになりました。
専門分野・研究のテーマ
学校心理学とコミュニティ心理学を専門としています。現在関心を持っているテーマは「スクールコンサルテーション」です。どのようにすれば教師とスクールカウンセラーがうまく協働できるのか。スクールカウンセラーとしての自分の課題でもあります。
学生諸君へのメッセージ
あまり興味のないことでも機会があれば経験しておくことをお勧めします。もう一つ、学生時代から自分なりのストレス解消法を見つけておくと、後々、役に立ちますよ。
推薦図書
●ミヒャエル・エンデ著『モモ』岩波書店
人はかつて誰もが子どもだったのに、年を取るにつれて余裕がなくなり、子どもの頃を忘れてしまい、子どもの心がわからなくなってしまいます。この本を読むことで、もう一度子どもの心を思い出すことができるでしょう。また、心理学を学んでからもう一度読み直すと、新しい発見がありますよ。
●小沢牧子著『「心の専門家」はいらない』洋泉社
スクールカウンセラーの制度は、賛成論がある一方で不要論や有害論もあります。この本は、スクールカウンセラーを中心とする「心の専門家」を導入することで、かつてはあった人々の連帯が失われていくのではないかと問いかけています。スクールカウンセラーをめざす方にこそ読んでもらいたい本です。そして、あなたなりの答えを出した上でスクールカウンセラーをめざしてください。
●佐藤信著『推計学のすすめ』講談社
心理学を勉強するときに避けて通れないのが統計学です。「数学は苦手」という人も多いと思いますが、この本は統計を基礎からわかりやすく、おもしろく解き明かしてくれます。数学が苦手な方でも、統計学は十分に理解し、使えるようになります。この本は、そのきっかけを与えてくれるでしょう。
渡邉 優子

専門領域
教育学、教育思想史
自己紹介
専門は教育学ですが、学校が苦手でした。
学校が苦手なのに、大学では教育学部でした。
大学在学中に留学したフランスでは、何度も「あなたの専門は何?」「フランス語やフランス文学の専攻でもないのによく来たね?」と言われました。
「なんとなく」や「来たいから来た」は、とても大事なことだと思っています。でも、その先――何がしたいのか、何に興味があるのか、何ができるのか/何ができないのか、何に興味がないのか、何をやりたくないのか/それは何故か――についてじっくり考えることも同じくらい大事だと思います。同時期にタンザニアに留学していた友達と声が枯れるまで本気でそんなことをお喋りしていたら、いつの間にか教育学が面白くなっていて、今に至ります。
専門分野・研究のテーマ
教師がどのような考えや信念をもって実践にのぞんでいるのかということに興味があり、思想史的観点から研究してきました。
20世紀初頭のフランス語圏ヨーロッパと日本の教育思想について「表現」の概念に注目しながら検討しています。
学生諸君へのメッセージ
楽しいことや面白いことばかりでなく、辛いことや悲しいこと、大変なこともたくさんあると思います。まずは、今の自分が面白いと思うことや面白いと思う人を見つけてみてください。そして、もしよかったらですが、それがどんなことかどんな人か教えてください。
推薦図書
●金森修著『動物に魂はあるのか』中央公論新社
臨床心理学や心理学に関心のある方にとって、心は当たり前のものなのかもしれませんが、心とは何なのでしょう。動物の霊魂についてこれまでどのように考えられてきたのかを紐解いていく所々で、私たち人間とは何か問われています。
●ユクスキュル/クリサート著『生物から見た世界』岩波書店
人間以外の生物は、この世界をどのように感じ、どのように生きているのでしょう。私たち(というよりは、あなた)が当たり前だと思っているこの世界は誰とどのようにして共有されるのか、これまでとはちょっと違って世界が見えてきます。
●ルソー著『孤独な散歩者の夢想』岩波書店
教育学でルソーといえば『エミール』が定番ですが、個人的には『孤独な散歩者の夢想』がすきです。初めて読んだ時、読み終えてしまうのが惜しくなって途中からゆっくり読みました。
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