先日、本校の中学1年生から高校2年生までの生徒約30名とともに、グローバル研修の一環としてフィリピン・セブ島を訪れました。研修では、セブ島から伝統的な船で約1時間かけて沖合の小さな離島を訪問しました。移動中に目にした透明度の高い美しい海とは対照的に、島の生活環境は極めて厳しいものでした。上下水道・電気・ガスといった基本的なインフラは整備されておらず、生活用水は雨水を貯めて使用。狭い居住空間に多くの子どもたちが暮らしており、人口密度の高さから衛生環境も悪化し、感染症のリスクが常に存在しています。
このような環境下で暮らす人々との交流を通じて、生徒たちは多くの気づきを得ました。ある生徒は「困難な状況にも関わらず、笑顔と希望に満ちた島の人々の姿に深く感動し、自分たちがいかに恵まれているかを痛感した」と語り、貢献の意味を考え続けたいと述べました。また別の生徒は、「厳しい環境でも笑顔を絶やさない子どもたちを見て、幸せとは何かを考えさせられた。支援は一方的であってはならず、現地の声に耳を傾けることが重要だ」とし、英語学習への意欲を新たにしました。さらに、「教育こそが貧困からの脱却の鍵であり、質の高い教育が島の未来を切り拓く」との声もありました。
これらの感想は、教室で学んできた環境問題や貧困、SDGsの理念が、生徒自身の体験を通じて「自分ごと」として深く内面化された瞬間を示しています。そして、その根底には本校の建学の精神である「人間愛」が確かに息づいています。
私立学校の存在意義は、まさにこの建学の精神にあります。独自の教育理念のもと、特色ある先進的な教育を展開することで、生徒一人ひとりの可能性を引き出し、社会に新たな価値を創出する原動力となるのです。私たちの使命は、この精神を単に「守る」のではなく、時代の変化に応じて「生かす」ことにあります。急速に変化する現代社会においてこそ、創立者の理想を現代に照らし、新たな意味を見出しながら実践する姿勢が求められています。
本校は2027年10月17日に創立100周年を迎えます。この節目を機に、これまで培ってきた伝統と文化を尊重しつつ、グローバルマインドを育む教育をさらに推進し、次の100年、そしてその先の未来へと繋がる人材の育成に邁進してまいります。
付属中学校 校長
MESSAGE/メッセージ
人間愛を胸に、世界と向き合う
海外研修を通じて培われたグローバルマインド
海外研修を通じて培われたグローバルマインド