留学生の報告

海外研修

廣瀬結菜さん

研修先:中国・東北大学秦皇島分校(中国日本語教育研修)

私は中国の河北省秦皇島市にある東北大学秦皇島分校にて、日本語教育実習を行いました。期間は2月下旬から3月上旬の17日間、実習生は8名です。

実習に向けた準備のため「日本語教育実習2」の授業では、実習先の中国について学び、教科書の分析、教案作成、模擬授業をしました。既習の文法を把握し、教師の言葉遣いに意識を向け、教案の作成をしていきました。そして、留学生別科の学生に学習者役をしていただき、模擬授業をしました。実際に学習者を相手に模擬授業をしたことで、不足箇所や修正箇所が明らかになり改善へ繋げられました。実習生同士で意見交換をする場面も多く、全員で協力しながら準備を進められました。

さて、現地での実習は、実習生も学習者も緊張していて少し固い空気感から始まりました。学習者の教科書には漢字の読み方等の沢山の書き込みがされていて、熱心な学生だという印象でした。ですが「外国人の先生は怖い」と思っていた人もいて、間違えて発言することを恐れているようでした。そのため「活発に発言がされる楽しい雰囲気の授業」を目指し、実習生全員で授業中の活動などを工夫していきました。その結果、教室の雰囲気が徐々に柔らかくなり、発言も少しずつ活発になっていきました。学習者の様子に変化が見られたことは今回の実習の大きな成果であり、醍醐味だと思います。

変化があったのは学習者だけではありません。実習生も教壇に立つことに慣れ、学習者とのコミュニケーションも増えていきました。同時に、授業の担当ではない実習生も主体的に学習者の補助をするようになりました。実習生“全員で”授業を作るということを実感し、これもまたこの実習の醍醐味であったと思います。

また、現地の先生から「日本語母語話者だからできる発音の訂正をするべき」と指摘を受けました。“日本語母語話者だから”できる適切なフィードバックについて考えることを今後の課題にしたいと思っています。

秦皇島市での生活を通して、中国語や中国の文化にも触れました。中国に到着した頃はまだ街中に春節のお祝いムードが漂っており、夜になると提灯をはじめとする装飾がライトアップされ、とても綺麗でした。私は中国語がほぼ分からない状態であったため、学習者のように外国語を覚えながら生活をしました。覚えたての中国語を使い自力で買い物ができた時、本当に嬉しかったのをよく覚えています。学習者の立場も経験できたことは、今後日本語学習者の気持ちに寄り添うことに活かせるのではないかと思います。

本実習では海外での教壇実習という貴重な経験だけでなく、中国での生活を通して様々な刺激も受けました。ここに書ききれないほど非常に濃い17日間でしたし、参加して良かったと心から思っています。お世話になった多くの方々に感謝を申し上げるとともに、今後も参加する実習生にとって実りのある実習になることを願っています。


×