韓国極東大学校受け入れ(日本語教育実習Ⅲ)の日本語教育実習レポート

韓国極東大学校受け入れ(日本語教育実習Ⅲ)の日本語教育実習レポート

外国語学科 伊東祐里さん 蛭沼里紗さん

日本語教員養成コースに登録して、1級(主専攻)・2級(副専攻)の資格を目指す人は、日本語教育実習への参加が必須です。今回は、日本語教育実習Ⅲ(通称「極東実習」)に参加した、外国語学科4年生お二人に、日常の学生生活や今回参加した極東実習について紹介してもらいます。

まず自己紹介(所属ゼミと氏名)をお願いします。

日本語教育・福田ゼミの伊東祐里(いとうゆり)です。

山下ゼミに所属しています、蛭沼里紗(ひるぬまりさ)です。

よろしくお願いします。

いま取り組んでいる卒業論文のテーマについて聞かせてください。
(伊東)

「日本語教育におけるカタカナ教育について」をテーマに中国語母語話者と韓国語母語話者を対象に、日本語学習者が抱えるカタカナ学習の困難点やニーズは何かを調査しています。以前、日本語教育に関わる授業で日本語学習者の多くが、漢字と同等にカタカナの学習を困難に感じていると聞きました。日本語教育ではカタカナ文字やカタカナ語の具体的な教授法が少なく、学習者自身に委ねられている現状があるので、この調査を今後のカタカナ教育の促進と発展につなげていきたいと思っています。

(蛭沼)

「女子力と社会的規範」が卒業論文のテーマです。女子力は英語にそのまま訳すと“Girl Power”となりますが、意味や使われ方が大きく異なります。それぞれの表現の持つ意味・使われ方を比較し、社会的規範の中でどのような評価と結びついているのかを考察しながら、日本の性的役割分業や良妻賢母などの問題について考えていく予定です。

お二人は、異なるゼミに所属していますが、日本語教員養成コースに登録して、日本語教育の資格取得を目指していますよね。興味を持ったきっかけが何かありますか。
(伊東) 

幼少期から英会話教室に通っていたため、語学に関わる職業に関心がありました。高校2年生の時、外国人観光客の方に道を尋ねられた際、会話の流れで簡単な日本語を教える機会がありました。私が教えた日本語を嬉しそうに話す姿を見て、初めて日本語を教える楽しさ、面白さを感じたことが日本語教師という仕事に興味を持ったきっかけです。

(蛭沼)

英語や中国語を勉強する中で、日本語の複雑さに気づき、言語を学ぶ者として少しでも日本語学習者の力になれたらと思ったことがきっかけです。文法の指導方法などを学び、日本語って本当に難しい言語だな…と思いました。日本語教育の基礎が身につくだけではなく、正しい日本語を使えるようになるので日本語教員養成コースに所属して良かったと感じます。

2023年春学期には、2019年度以降コロナ禍でオンラインになっていた極東実習が4年ぶりに対面で再開され、30名余りの極東大学の学生を対象に、実習を行いましたね。お二人が、どのようにこの実習に取り組んだか教えてください。
(伊東)

極東生30人誰もおいていくことなく、全員が日本研修を楽しんでほしいという強い思いがありました。授業内の見回りや休み時間では、お互いの趣味や文化など話しやすい話題を中心に全員と会話をすることを心掛けていました。日本語を話すのが苦手そうな学生にも諦めずに「やさしい日本語」を使って会話をし、このプログラムに参加した2週間で日本語を話す楽しさを感じてもらうことを意識していました。

(蛭沼)

「極東生にとにかく楽しんで日本語を学んでもらい、日本語を学ぶことをさらに好きになってもらう」ということを目標に取り組みました。授業で学んだことをアウトプットし、実践的な日本語を身につけることができるよう、授業外の時間でも積極的に声掛けをするようにしました。授業終盤にはお互い仲良くなり、極東生に韓国語を教えてもらうこともありました。

極東大学のプログラムで、日本語を教える中で、どのような点が難しいと感じましたか、またどのような工夫を凝らしたり、配慮したりしましたか。
(伊東)

極東生30人全員のレベルに合わせた授業や会話をしていくことが難しかったです。日本語を覚え始めた初級レベルの学生もいれば、日本語能力試験の資格を持ち日本での留学を目指している上級レベルの学生もいて、それぞれのレベルに合ったアプローチをしていくのが大変でした。個人的には教壇に立った際、30人の前で授業をするのが初めてだったこともあり、思っていた以上に緊張してしまいました。分単位で細かい教案を作成し何度かシミュレーションもしていましたが、実際に授業をしてみると時間が余ってしまうこともありました。また、暑い日に校内活動や野外活動で外に出る際は極東生の体調に配慮する必要があったため、その場に応じた臨機応変な対応をいつも心掛けていました。

(蛭沼)

指導案作成が難しく、また教案通りに授業を進めることの大変さを感じました。30名の学生の日本語の習熟度は様々であるため、全員が授業に積極的に参加できるようするために応用の教材を作成するなど、授業計画にはかなりの時間を費やしました。工夫した点については、取り残されてしまう学生がいないように実習生によるサポート体制を整えたことです。

実習期間中に行われた文学部主催の交流会では、お二人は司会を務めていましたね。交流会に参加してみてどのような感想を持ちましたか。
(伊東)

授業で学んだ日本語を積極的に使って話している場面を見かけたときはとても嬉しくなりました。実習が始まった当初は消極的だった参加者も、交流会では実習生以外の文教生ともたくさんコミュニケーションを取っていていました。また、私たち文教生も極東生との交流を通してお互いの文化や趣味など色々な話をしました。両学生にとってとても良い経験になったと思います。

(蛭沼)

想像以上に交流会が盛り上がり、文教生と極東生の距離が縮まったことで、その後の研修がとても充実したものになりました。私はチマチョゴリを着て司会進行をしたのですが、極東生だけではなく多くの人に声をかけてもらい、司会の準備などを頑張って良かったなと感じました。

日本語教員養成コースで学んだことが、今回の実習にどう生かせましたか。また反省点があるとすればどのようなことでしょうか。
(伊東)

日本語教員養成コースでは、基本的な日本語教育の知識から世界各国の日本語教育事情などについて学んできました。特に、韓国語母語話者が間違いやすい文法のミスやイントネーションの特徴などについても、第二言語の韓国語の授業と合わせて学んでいたので、極東生の間違いには日本語と韓国語の文法構造と比較しながら説明することができました。反省点は、2週間という短い期間であったため、全員と深く関わることが出来なかった点です。もう少し積極的に話しかけ、簡単な会話でも長く続けられるようなアプローチの仕方が出来ればよかったなと思います。

(蛭沼)

コースでは日本語教育の基礎を学ぶだけでなく、学習者の心理についても学ぶことができたため、楽しく学んでもらうための環境づくりや間違いに対するフィードバックをする際に、極東生一人ひとりに適した対応を取ることができたと考えます。反省点としては、極東生に対する実習生の人数の少なさもあるとは思うのですが、極東生一人ひとりに向き合う時間をあまり取ることができなかったことです。

今後のキャリアプランについて教えてください。日本語教員養成コースで学んだことを、ご自身のキャリアにどのように生かしていきたいですか。
(伊東)

教師としての知識や経験だけでなく、それぞれが持つ目的や想いを大切にし、仲間と協力し合うことで、何事もより良いものにしていくことが出来るということをこの実習で学びました。これから社会人になる上で人との関わり方や1つの目標に向かって努力していくこと、仲間の存在を大切にこれからの自身のキャリアアップに活かしていきたいです。

(蛭沼)

日本語教育についての知識や興味が深まり、現在は地元の自治体の日本語教室にてボランティアとして日本語の指導をしています。今後は様々な理由から日本語学校に通えない在住外国人に対しての日本語支援を行っていきたいと考えます。

日本語教員養成コースで一緒に学んだお二人ですが、同じ実習に参加した学生同士のやり取りやつながりはどうでしたか?
(伊東)

同じ文学部の学生ではありますが、今回の実習で初めて顔を合わせる学生も多かったです。短い期間の中で2週間分の授業プログラムを準備するのは大変でしたが、学生全員で協力しアイディアを出しあったことで、大きなトラブルなく、私たち自身も楽しみながら実習を乗り切ることができました。大学生活の中でも記憶に残る素敵な仲間たちです。

(蛭沼)

私は日本語教育のゼミに参加していないため、同じ学科の学生以外は初めて顔を合わせる学生ばかりでした。ですが、日本語研修をより良いものにするという同じ目標のもと協働し合うことで、自然と仲が深まりましたし、学生生活最後の有意義な時間を過ごすことができました。

お二人は卒業間近ですが、学生生活を振り返ってみて、楽しかったことや努力して達成できたことを教えてください。
(伊東)

コロナの影響で大学生活の半分以上はオンライン授業になり、念願の短期留学も国内になってしまいましたが、やはり今回の極東実習に参加できたことはこの4年間の中で最も記憶に残っています。実習生と協力し、お互い励まし合いながら頑張ってきたこの2週間は何にも変えられない素敵な思い出です!韓国の学生たちも真面目で素直で礼儀正しくとても意欲的だったため、苦労した分、大きなやりがいを感じることができ、最後の別れの日には涙を流す学生も多くいました。改めて日本語を教える楽しさを感じることができたこの実習に素敵な仲間たちと参加することができて本当に良かったです。

(蛭沼)

制限が多くあった中での学生生活でしたが、とても充実しており、満足しています。様々な授業を受け、視野が広がりましたし、オンライン留学にて英語のスキルも上がりました。必修科目と日本語教育科目の両立が大変なこともありましたが、外国語学科での学びによって、将来の選択肢が増えたと感じますし、卒業後も英語を学び続けたいと感じるほど言語学習への意欲が高まりました。


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