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Graduate student

斉藤理基さん「オランダ研究調査報告」

image01.jpg私は、修士論文において、社会学的な視点からの日本の教育観の検討をテーマに研究をおこなっている。この研究では、日本の教育観に検討を加えるための視座として、オランダの教育に注目している。その中でも特に、オランダの教育改革において牽引的な役割を担ってきたオルタナティブ教育であるイエナプラン教育に注目しており、今回の調査を計画するに至った。
調査は、2011年3月13日〜18日に、日本イエナプラン教育協会が実施したイエナプラン教育のオランダ研修会に参加するかたちで行った。研修は、JAS(イエナプラン・アドバイス・アンド・スクーリング)の専門家であるフレーク・フェルトハウス氏とヒュバート・ウィンター氏によって進められた。研修内容は、ドレント州のエヒテンにあるJASの研修施設でのワークショップを中心とするものである。ワークショップの内容は主に、フレーク氏によるパワーポイントを使った教育理論のプレゼンテーションと、実践されている教育手法の体験、グループごとの「イエナプラン校」の企画演習である。
また、研修3日目の15日と最終日の18日には、実際にイエナプラン校の視察をおこなった。15日はヘーレン市とホーホヴェーン市の二つのイエナプラン校を2グループに分かれて終日見学。18日は、バレンドレヒト市のイエナプラン校を午後まで見学した。両日とも、教室に入って授業の様子を観察し、休み時間に教職員達と意見を交わすというかたちでおこなわれた。
イエナプラン教育は、異年齢によるクラス編成をしているのが特徴である。また、授業形式も、教師対子どもの一斉授業的なものではなく、子どもたちが自主的・共同的(相互作用的)に学習できる形式をとっており、机などの配置もそれを考慮したかたちになっている。このような教育の特殊な実践形式の教育学的な意義についてはワークショップの中で学ぶことができた。
以上、この研修では、イエナプラン教育の理論と実践を相補的に学ぶことができた。この研修への参加を通して、日本の教育観とは根本的に異なる、オランダ社会の教育観を観察することができた。これは自身の研究に貢献しうるものである。