臨床心理学専攻の沿革
人間科学研究科臨床心理学専攻は1993年に定員9人で設置され、1996年に始まった臨床心理士養成指定大学院(第1種)の最初の10校の一つとして認可されました。1999年から定員は20人となり、現在に至っています。修了生は400人以上となり、多くは心理臨床の現場で実践家として働いています。2000年には日本で初となる臨床心理学専攻博士後期課程が設置され、2018年には国家資格である公認心理師の養成施設として認められました。専攻の歴史は26年ですが、1966年に文教大学の前身である立正女子大学家政学部が設立された当初に臨床心理学を中心としたカウンセリングコースとその実践の場として臨床相談研究所がすでに設立されていました。今では大学院付属となり、院生の教育・研究と実践を繋ぐインターンシップに欠くことのできない施設となっています。本専攻は臨床心理学の教育・研究の最前線を常に走ってきた50年以上の歴史があるのです。
教育・研究の内容
積み重ねられた臨床心理学の研究と教育の歴史はバランスの取れたカリキュラムを生み出しました。臨床心理士はもちろん公認心理師に必要とされるカリキュラムはほぼ専任教員だけで担当しています。研究指導担当は全て専任教員で13人、研究指導は教員一人当たり1~2人で行われます。
教員の専門分野は基礎から臨床まで幅広く、臨床心理学の柱となる心理アセスメントと心理療法(来談者中心療法、精神分析、認知行動療法、家族療法、遊戯療法)に加えて、教育、発達、家族、福祉、医療、犯罪・犯罪被害、実存、分析、産業の各領域を専門とする教員が配置されています。
【教育・研究の内容】
授業科目に関しては、公認心理師・臨床心理士の受験資格取得に必要な科目が準備されていることに加えて人間科学専攻や学内の他の研究科の授業の単位を取得することも可能です。授業の多くは教員からの一方通行の講義ではなく院生自身が主体的に考え発表し教員や受講生と討論する形式であり、アクティブラーニングが実践されています。
実習に関しては、学内では臨床相談研究所でケースを担当すること、学外では保健医療分野を中心に、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の5分野で実習できる体制が整っています。事前・事後には個別・集団の両タイプのスーパービジョンが手厚く行われます。さらに公認心理師で増えた実習に対処するため、実習指導室を整備し、さらにきめ細かい対応ができる体制を整えつつあります。
研究指導は教員の専門領域の幅が広いことから、院生の希望に合った内容で進められます。研究方法については従来からある量的・実証的方法のみならず、GTAやIPAといった質的研究の方法の指導を受けて修士論文を書き上げることも可能となっています。これらの成果をもとに論文を学会誌などに投稿・掲載したり、さらに本学・他学の博士後期課程に進学し、博士号を取得、大学教員となる人も出てきています。
修了要件
修了には、大学院に2年間在籍し、必修25単位を含む43単位以上を修得することが必要です。さらに、研究指導を受けたうえで修士論文を提出し、審査に合格することが求められています。
学位等
臨床心理学専攻修士課程を修了した者には、修士(心理学)の学位が授与されます。また、臨床心理士養成大学院の第1種指定校であることから、修了した年に(公財)日本臨床心理士資格認定協会による臨床心理士の受験資格が付与されます。また、2018年度から国家資格である公認心理師養成カリキュラムにも対応していることから、所定の科目を履修することで公認心理師の受験資格もあわせて取得することができます(但し、学部で所定の科目を履修していること)。
資格取得状況
公認心理師・臨床心理士になりたいという希望が強い人が多く、自主的に勉強する習慣がある人が多い風土があります。その結果、自主勉強会が活発で、公認心理師は90%、臨床心理士の合格率は90%以上(全国平均60%程度)と高い合格率を誇っています。