大学は「研究機関」でもある点で高校までの教育機関とは一味違います。では「研究」ってどういうことなのでしょうか?学生の持っているイメージを知りたくて、ゼミの3年生に聞いてみたところ「大人の自由研究」、「大人の調べ学習」といった言葉で表現してくれました。

学会という言葉はよく耳にすると思うのですが何をしているかはご存じない方が多いのではないかと思います。学会というのはある話題を専門的に研究している人の集まりで、研究成果をまとめた研究論文を掲載した研究誌を刊行することと、年に1回程度会員が集まって研究内容を報告しあう大会の実施が主たる事業になっています。大会のことを学会ということが多いのですがこれは正確な表現ではないことがわかります。大会は規模にもよりますが、大きな学会の大会の場合は、大学や会議場などで開かれます。その内容は、大きなホールで3,4人の研究者が一人2,30分自分の研究の講演をし、その後コメントや質疑応答があって2時間くらいで終わるシンポジウムと体育館のような広い部屋にドア1枚くらいの大きさのパネルがたくさんあり、発表する人がそのパネルに壁新聞のように発表したい内容をポスターにして貼り付けてその前に立っていて、やってきた人にポスターを使いながら自分の研究成果を話して発表するポスターセッションが主たるものです。大きな学会ではシンポジウムが数十、ポスターは数百件にもなります。

学会は気難しそうな専門家の集まりで素人には分からない何かとても難しそうな話をしていて近づきにくいイメージがありますが、実は心理学の学会はこれには当たりません。  シンポジウムは最先端の研究内容が話題になるので専門的な知識がないと理解が難しいことが多いのですが、心理学の研究対象である「こころ」は人間すべてが持っているものなので専門的な割には理解できることが多いのです。さらに、最先端で研究する著名な人たちなので難しいことをわかりやすく説明する力を持つ人が多く、素人が聞いていても勉強になることが多いのです。

9月15日から17日まで神戸国際会議場で開催された日本心理学会82回大会に臨床心理学科3年生3人、臨床心理学専攻大学院生4人が参加しました。学会に参加するのは通常大学院生以上の専門家でないと難しいと思われているのですが、上に挙げたような話をしたところ3年生も参加したいということになり院生と一緒に神戸に向かいました。

会場に着いた時には状況がわからず固まっていましたが、半日会場に放牧していると、目を輝かせて講演を聞くだけに留まらず講演者に質問を浴びせかけたり、臆することなくポスターに突撃できるまで育ってしまいました(笑)。参加した感想を聞いてみました。

「発表者と距離が近い。質問しやすい空気。優しく答えてくれる。」
「自分が興味のある発表を選んで聴講することができる」
「ご当地の食事を楽しむことができた」
夜は(昼間も適当に)観光を楽しんだことは言うまでもありません。

大学生でなければ味わうことのできない貴重な体験だったようでした。




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