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Study

海津研究室

「エコツーリズム」が私の研究分野です。エコツーリズムには様々なとらえ方があり、観光の中の新しい切り口として見なされることも多いのですが、本来は、自然や文化などの資源を守り地域振興に寄与する観光、という理念です。私はもともと地域活性化や地域計画に携わってきたので、地域資源をいかした発展と観光との繋がりを考えていた時に、海外で普及が始まっていたエコツーリズムに出会いました。観光は時代の要請や社会状況によって、様々な形に変遷するものですが、エコツーリズムは、現代における観光の一つの到達点だと思っています。観光は地域コミュニティや文化の存続のために、そして自然環境を守るためにプラスに働くことができるのか、そうあるにはどうしたらいいのかが研究の一番の関心です。ただ、エコツーリズムだけをキーワードにすると、例えば国立公園や世界遺産における観光など特定の場所やテーマに議論が絞られてしまいます。そうするとエコツーリズムが本来提起したことが伝わらず、興味を持つ人々も限られてしまいます。事業やビジネスで観光に携わっている人々に、どう訴求していくかを考えなければいけないと思っています。そのため、ビジネスも含めた持続可能な地域社会や自然環境を実現する観光という意味の「サステナブルツーリズム」というキーワードを用いて、視野を広げた研究に取り組んでいます。

では、国際学との接点はどのように考えればよいでしょうか。

エコツーリズム自体、海外で生まれたものです。国際間の観光産業の発展の中で、自然環境の持続との間で生まれる弊害が無視できないほど大きくなってきたという課題から始まっています。私たちは、海外で起きてきたことを日本で学んでいるという状態です。エコツーリズムやサステナブルツーリズムの学びは、「観光」というフィルターを通して、環境と経済、地域、生活、人々の楽しみなどいくつもの要素がからみあう社会に起きる課題をどのように解決していったらよいかという所に直結します。それは海外でも日本でも同じなのです。つまり、ここで勉強していることは世界中どこでも起きていることなのです。エコツーリズムやサステナブルツーリズムを学ぶには、グローバルな視野から観光と地域や自然環境のつながりを見ることが求められます。これが、私が思うエコツーリズム研究の「国際学性」です。

学部の学生はその分野について知らないということが前提にありますので、なるべく基礎的なことが理解できるようにすることに力を入れています。くどいくらいに理論的な所をゆっくり、そして応用的なところは事例をたくさん使いながら講義しています。大学院生は自分で研究できる力を身に着けることができるようになることが目標です。研究の手法や情報の集め方等を身につけてもらうように配慮しています。学生たちが得た知識や考え方が世界の他の研究者と対話できるものでなければならないと思っているので、世界で起きていることや日本で最先端での流れを入れながら、学生がそこについていけるようにとアシストしています。例えば1年の時に授業で国連大学に行きましたよね。ああいう場所に行くことによって、今世界で動いている研究や潮流の末端に触れてもらうことが目的です。その先に世界がある、という現場の風を感じてもらいたいと思っています。研究指導では、当たり前ですが自分で論文が読む力がつくように指導しています。

死守しています(笑)。研究ができないと研究者は死んでしまいますので。授業に当てる時間、研究に当てる時間、校務に当てる時間がなるべく均等になることが理想ですが、一番失いやすいのが研究の時間です。そうならないよう、なるべく学外の研究者と一緒に研究をするようにしています。違う時間の流れをもっている人々と研究することで責任分担が生まれるのです。それと、最近は私の研究が学生にとって学びになるようにしようと、なるべく研究の現場に学生を連れて行っています。まず私自身、研究が楽しくなります。でも結局、まとめる時間が足りず、寝る時間や遊ぶ時間を削ってしまいます...(笑)-では、海津先生にとって大学院生はいた方が良いですか?...もちろんです。研究は楽しく、研究者は分野も大学も国も問わず議論ができる仲間だと思っています。私の研究に興味を持つ学生がいてくれるとなお嬉しいですが。

もし余裕ができたらしてみたいことはありますか。あるとすればどのようなことですか(研究に関係しなくても可能)。

いろいろあります。まずは全大陸でエコツアーに参加することが目標にあり、まだそれが達成できていません。

まだ訪れていない大陸はどこですか?

北極圏のグリーンランドやアイスランド、あとは意外と北米(アメリカ)ですね。中米と南米は何度も行っているのですが、行きたいシーズンは混んでいたり、まとまった時間が取れなかったりして行けていないのです。あとはダイビングの免許、船舶のライセンスがほしいです。

それはエコツーリズムの研究のためですか?

関係があるかもしれないですね。宇宙にはなかなか行けそうにはないので、違う生態系の世界に入りたいと思っています。

私は恐らく趣味と実益が一致しているんですよね。ですので趣味は、島巡りと、あとはお祭り巡りですかね。3.11の後に、自然災害と地域の観光の繋がりを研究したり見に行ったりしていますが、東北は神楽が盛んですよね。旧仙台藩、旧南部藩辺りの神楽に興味をもっています。半分趣味で半分研究です。それらのルーツをたどるのが面白いのです。神楽が残る地は山岳信仰の世界ですが、火山、温泉、ジオパーク、国立公園、そしてエコツーリズムなど現在の自然観光対象につながっています。

他に趣味はありますか?

ジグソーパズルが好きです。最近はできていませんが、地図のジグソーパズルが好きです。世界・日本と場所は関係なくします。そして地図集めや写真を撮ることも趣味の一つですね。

全て研究と繋がっていますね?

そういえば、そうですね。質問してもらって気づきました(笑)。

ご協力ありがとうございました。