9月9日(木)、10日(金)に北海道札幌市で開催されたプロジェクトマネジメント学会主催の秋季研究発表大会で、情報学部情報社会学科3年生の中原あいさん、1年生の荒木寿珠さん、加藤真実さんが研究発表を行い、荒木さんが学生論文発表賞・最優秀賞、中原さんが同・優秀賞を受賞しました。
本大会は産官学から約350名の参加を得て、大学院生を含めた17件の学生発表が行われ、最優秀賞1名、優秀賞2名(奨励賞は該当無し)の内、2枠を本学学生が受賞しました。
中原さんは、昨年開催されたプロジェクトマネジメント学会主催の国際会議での学生論文発表賞・最優秀賞に続き、2度目の受賞となりました。
受賞、発表の内容は、以下の通りです。
<学生論文発表賞・最優秀賞>
【論文タイトル】
レジリエンスを導入した情報システム開発プロジェクト・チームの編成に関する研究(和文10ページ)
【著 者】
荒木寿珠(関哲朗教授と共著)
【内 容】
情報システム開発プロジェクトに従事するメンバーのモチベーションの維持・向上策に関する研究が多く行われる一方で、この研究はネガティブ・インパクトによるモチベーションの低下からの「回復」に注目したことに新規性があります。心理学における従来のレジリエンスに関する研究がライフ・イベントの中にあるネガティブ・インパクトからの回復に議論が終始していることに対し、情報システム開発プロジェクトという閉じたビジネス空間におけるレジリエンスの意味や必要性について議論を展開したことが評価されました。

▲(左)日本電気執行役員常務 小玉浩会長、(右)最優秀賞を受賞した荒木さん
<学生論文発表賞・優秀賞>
【論文タイトル】
利他的行動の導入による顧客志向行動の理論的考察― 情報システム開発プロジェクトにおけるロイヤルティ向上にもとづく動機づけモデルの研究―(和文10ページ)
【著 者】
中原あい(関哲朗教授と共著)
【内 容】
この研究は、2021年の国際会議で最優秀賞を受賞した論文(大幅に加筆された「Loyalty Enhancement-based Motivation Model in Information System Development Projects」がプロジェクトマネジメント学会誌に研究論文として採録されました)の続編にあたるものです。従前の研究はKotlerらが提唱したCustomer Orientation(顧客志向)に出発点を得ていましたが、本研究では顧客志向が長期かつ高いモチベーションを維持できることの根拠について、社会生物学などの分野で議論されてきた利他的行動の概念を導入することで説明しようとしています。さらに、Dawkinsのプロセスの如何に関わらず結果が利他的行動であるか否かを定めるという定義が本研究の理論構造に影響を与える点について、原提案の母体組織の役割がこの矛盾の解消に向けて積極的に働くことを示しました。

▲(左)小玉会長、(右)優秀賞を受賞した中原さん
【論文タイトル】
拡大するステークホルダのマネジメントに関する研究(和文10ページ)
【著 者】
加藤真実(関哲朗教授と共著)
【内 容】
この研究は、SDGsの認識の進展や働き方改革によって新たにプロジェクト・ステークホルダと認識すべき対象を抽出し、その特性を分類しようとするものです。企業にとってのSDGsは、ビジネスの上で達成すべき課題、目標の1つです。一方で、Projectized Society/Companyの概念の導入は、その実現手段を企業が創成する全てのプロジェクトに求めることになりました。また、ステークホルダ資本主義の解釈の拡大は、SDGsとプロジェクト・ステークホルダの関係に新しい解釈を与えています。本研究では、このようなSDGsと働き方改革やテレワークの進展に起因するプロジェクト・ステークホルダの拡大に注目し、その性質をセイリエンス・モデルを用いて整理を行うことで、プロジェクト・リスク管理に備える新たな行動の解釈を与えました。

▲加藤さんの発表の様子

▲情報社会学科から参加した3人の学生(左から加藤さん、荒木さん、中原さん)

▲研究発表を行った学生の集合写真(最前列左から小玉会長、中原さん、荒木さん、優秀賞の関口さん、橋本亨副会長・富士通JapanリージョンCEO補佐、2列目右から2人目が加藤さん)